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少年冒険者の生活  作者: ▲■▲
間章:星狩と家畜エルフ
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手紙の配達



「さーて、俺らも手紙配達して回るか」


「アンタ、私の話をまったく覚えてないようね」


 アタランテさんはにこやかにキレつつ、レムスさんを引っ張って歩きました。


「こんだけ人がいる中で一つ一つ配るのは大変だから、自治会に引き渡すのよ。で、掲示板に手紙が来ていることを掲示してもらって取りに来て貰うの」


「なるほどな。んじゃあ手紙をまとめて預けたらお仕事終わりか」


「受け取りの署名貰ってからの帰還して初めて終わりよ」


「一人ずつ?」


「一人ずつ、それぞれからよ」


「えー、マジか」


 署名を貰うのはちゃんと配達されているか、の確認のためです。


 ただ、安否確認も兼ねての事なので手紙を受け取った方々一人ひとりがサインするのが通例です。手紙に対する返答を届けてほしいと頼まれる事もあります。


「今回、私達が預かってきたのは108通。宛先が同じものもあるだろうけど、これ全部に署名貰うまで帰れませーん」


「もう死んでたりしたらどうすんだよぅ」


「死体探しに行くのよ」


「マジかよ!」


「冗談よ。一応、署名付き受け取りの期限は到着から3日の契約だから、期限を越えたらシュセイ自治会の方が代理で署名してくれて、手紙は自治会保管となるわ」


 渡せない要因は送り先の人物が既にシュセイから最寄り都市へ帰ってすれ違いになっている事もありますが、星狩りの途中で死んでいる事もあります。


 死亡の要因としては魔物以外にも運悪く隕石で即死、遭難からの餓死、人間同士の喧嘩から勢いあまって殺人、失踪などなど様々なものがあります。


 シュセイの東側に広がる隕石地帯はそれなりに広大で、端っこから少しだけ離れたシュセイでも隕石による死亡が起こりうる結構な危険地帯です。


 それでもなお、多数の人が押しかける魅力が隕鉄にはあるのです。


「まー、早めに署名貰えるの祈って……手紙の保管、お願いしまーす」


「承りました」


 自治会の方に宛先の一覧表付きで手紙を引き渡し、受付開始の署名を貰った白狼会の二人は受付のテントを出ていきました。


 手紙に関しては最長で3日間待つ事になりますが、二人は星狩りも――隕鉄探しもついでにやって帰る腹づもりなので、ひょっとすると3日間以上滞在することになるかもしれません。


 ただ、手紙が無事届いたかどうかやきもきしている方々もいるので「長滞在するにしても4日が限度って事でよろしく」とアタランテさんは言いました。



「そもそも隊商の護衛で1日余計に時間かかったからね」


「確かに。まー、順調に行ったら帰りで挽回出来るさ」


「そうね」


「つーか、自治会に預けた手紙が隕石で吹っ飛ばないが心配だぜ」


「ああ、それは有りうるわね」


 二人がそう言ったところ、ちょうど隕石が落ちてきました。


 ズガアアアアアアアアアアアアアン! と大音を響かせて大地に激突した隕石が地面を揺らし、市場の商品が崩れたりテントが倒れる騒動になりました。


 幸い、隕石はどの野営地にも直撃しなかったらしく、揺れ落ちた商品に少し被害が出て、軽症者重傷者死傷者が数名出ましたが全員治癒魔術と蘇生魔術で元気になりました。良かったですね。


「あーらら、こりゃ近いわね」


「さっそく取りに行くか? 隕鉄混ざってるかも」


「いやー、これはちょっと……野営地近すぎて近寄りたくないわ」


 アタランテさんがそう言った舌の根も乾かぬうちに、野営地に控えていた冒険者達が一斉に隕石の落下地点に走っていき――所有権巡って乱闘騒ぎになり、ちょっと死人が出ましたが蘇生魔術で何とかなりました。


 そんな騒動の中、二人は冒険者さん達が出払った事で空いている野営地内の喫茶カフェに行き、軽めに食事を取りながら店主相手に談笑し始めました。




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