筑摩型改造航空母艦
タイトルは別に間違っているわけではない。
「利根」型の「重巡洋艦」ではなく「筑摩」型の「改造航空母艦」だ。
これは昭和17年に検討されたもので検討された理由は当然、ミッドウェー海戦の敗退にある。
筑摩型とされたのは筑摩が南太平洋海戦で損傷していたためだと推測されている。
取り敢えずいつも通り性能を列挙してみよう。
飛行甲板長:210m
飛行甲板幅:23m
艦底から飛行甲板までの高さ:18.45m
兵装
九八式8cm連装高角砲×2基
25mm3連装機銃×19基
搭載機数
烈風×11機
流星×18機
彩雲×3機
わかっているのはこれだけ。
この数字を見ると伊吹の空母改造案より少し大きいがエレベータは1基減ってしまったので艦首側に1基のみ。
なので露天係止の烈風8機を先に発艦させないと艦内の流星を出せない。
搭載機のうち格納庫に入るのは流星が18機と烈風3機のみで残る烈風8機は前述の通り露天係止。
彩雲も全て露天係止となっている。
こんな使いにくい空母なら全部戦闘機にした方がよかったと海事博物館推進室の方は言っている。
船体構造としては艦首飛行甲板の高さが伊吹と違いあまりないので大鳳と同じようなエンクローズド・バウになっている。
弾薬庫は被弾しても船体への影響が小さいように艦首に設置されている(位置的には旧一番主砲塔前。高さとしては旧二番主砲塔より少し高いところ)。
旧煙突や艦橋はすべて撤去され煙突は右舷側に二本に独立して、艦橋は旧艦橋より少し前方の右舷側に設置される。
元々が重巡洋艦であったので艦の防御能力はそれなりの物があった模様。
だが対空火力に関しては艦橋より前方の両舷に設置される高角砲を2基と機銃19基(右舷側は艦橋前に2基、艦橋後に2基、煙突より後方に3基+2基・左舷側は艦首側より3+2+2+3基、最初の3基は艦橋の正反対側、真ん中の2+2基は煙突の正反対側、最後の3基は煙突後方の3基の正反対側)のみで、さらに機銃は8基の指揮装置に指揮されるものの高射指揮装置が無いので高角砲は指揮されない。
よって対空戦闘能力は高くない。
左舷後方の飛行甲板上には探照灯が設置されている。
軽質油タンクは元々設置されていた後部機械室のさらに後方に一つ、エレベータ付近に設置された機銃弾薬庫の前方(つまり旧四番主砲塔下部付近)に一つ設置されている。
高角砲の弾薬庫は旧二番主砲塔の下部にある。
格納庫の高さは5m程で艦尾側の飛行甲板は7m程が船体から伸びている。
エレベータの寸法は13mの正方形だった。