夢~そして邂逅
「………っ!」
あまりにも大きな姿に少女は後退りする
それは大きな蜘蛛だった
毛むくじゃらの大きな足はカサカサと音を立て足先は爪のように鋭く尖っている
蜘蛛の鋭い2つの顎には血塗れの布が絡まっていて奴の足元には血溜まりができていた
「必ず俺より前に出るなよ?」
言葉を失った少女は頷く事しか出来ずにただ後ろに下がり距離を取る
蜘蛛のたくさんの目が赤く怪しく光りそして奴が飛び掛かってきた
「無理するなよ」
少女の手を掴み蜘蛛の下を滑るように抜け少女を岩場の影に押しやると蜘蛛の距離を詰めていく
蜘蛛はその鋭いたくさんの足を俺に向かって何度も突き刺そうとするが
冷静に1つ、また1つと回避し隙を見て数個の目に向かって発砲
「ご馳走をやるよ」
蜘蛛の目は潰れ怯んだ所に間髪入れずに駆け寄り銃をフルオートに切り替え頭の付け根に向かって力いっぱい引き金を引く
アサルトライフルは激しく震え
銃口は幾多の閃光を放ち
無数の弾丸は蜘蛛を突き破り天井の岩壁を砕いていく
力なく崩れ落ちる蜘蛛から距離を取ると奴の足や顎はまだ動いていた
「デザートもあるぜ」
銃口を蜘蛛が倒れている真上に向け残りの弾を撃ち切ると激しい地鳴りと共に岩石が崩れ落ち奴の姿は岩の隙間から飛び出た足しか見えなくなっていた
さすがに息の根は止めたであろう
結果的に大きな音を出してしまったが元来た道は完全に塞がれて閉まったのでしばらくは大丈夫なはずた
「大丈夫か?」
腰が抜けてしまった様に地面にぺたんと座り込む少女に手を差しのべる
「……あなたは何者?」
ゆっくりと俺の手を掴み立ち上がる少女は唖然としながら口を開く
「言っただろ
……ただの傭兵だ」