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序章
◇遺書◇
親愛なる叔母様へ
私は愚かな女でした。
愛する人の正体にも気付かなかった。
私は…汚されました。
自分の愚かさに、もう生きていく気力がありません。
どうして、アイディリアが姉ではなかったのでしょう?
私より彼女の方が、きっと相応しかった。
女王としての最後の命令です。
彼に自首の機会を与えて下さい。
イフィリア・ルクセントより
◇エルマリア・リフォルト◇
エルマリアは、イフィリアの叔母である。
遺書を読み終えた彼女は、血の気が引いた顔で立ち上がった。
数日前に娘が意識不明になったと思えば、今度は姪が自殺。
エルマリアは、まだ間に合うかもしれないと、夫と共に王城へ向かった。