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64 開宴

キーラさんに髪をセットしてもらった後、お化粧もしていただきました。

キーラさんはもともと王妃様の侍女をしていたのですって!どうりでドレスの着付けもメイクも手馴れている訳ですねぇ。


「では旦那様、私も準備に向かいますので、リィナを宜しくお願いいたします」

「ああ」


え?キーラさんどこか行っちゃうの?


「私も舞踏会の参加者なんですよ、リィナ」

「えええ!」

自分の支度あるのに、私の支度にこんなに時間をかけてもらって申し訳ありません。と言うと、キーラさんは「王妃様の所為ですから、リィナが謝らなくてもいいですよ」と笑って言ってくれました。さっき怖いと思ってしまってスミマセンでした。


そんなわけで、キーラさんが退出してしまい、旦那様と二人きりです。

「・・・」

「・・・」


なんか、気まずい。


「・・・リィナ」

「はい」

「ダンスの練習をしようか」


・・・はぁい。





************************************





部屋の中で練習するのかと思ったら、ちょっとしたホールのような所に連れて行かれました。ここは本来、会議室だそうです。

客室から会議室までの道のり、なぜか旦那様に手を引かれて行ったので、すれ違う人たちの視線が痛いこと痛いこと。旦那様、私は迷子になるとでも思っているんですかね?

旦那様が壁にあるボタンを操作すると、壁からキーボードと画面(ディスプレイ)らしきものが出てきました。それを操作すると・・・音楽が流れ始めます。へぇー、パソコンなのかな。


そして、ダンスの練習。さっきクリスさんに教わったばかりのステップなので、さすがに覚えてます。大丈夫です。

「リィナ、顔を上げて」

「・・・」

足元見てないと、わからなくなっちゃうんですってば!と言いたいのですが、話をする余裕も無いのが実情です。


「リィナ」

「・・・ムリです」

「大丈夫だ。ちゃんとリードするから、一人で踊ろうとしなくていい」

「?」どういう意味でしょうね?

「競技じゃないんだからステップの間違いを指摘する者など居ない。それよりも踊っているあいだ中、パートナーと視線を合わせない方が何か問題があると思われてしまう」

「もんだい?」

「そう、まるで私が権力で無理やり従わせているような・・・」

「私、王妃様の権力で無理やり出席させられるんで、事実だと思います」

「・・・」

「旦那様、踊っているあいだ中、眉間に皺を作るのは問題ないんですか?」

「・・・問題ない」

「えー?でも私さっきクリスさんに“笑顔で踊れ”って言われましたよ?」

くすくす笑いながらそう言うと、旦那様は苦笑しました。

「やっと顔を上げたな」

あ・・・本当だ。・・・踊れてる。


「な?足元見なくても、踊れるだろう?」

ちょっと得意気な顔で言う旦那様。あー、若い男の子って、そういうちょっとした事を自慢したがったりするよね。うんうん、今日の旦那様は年相応に見えますよ、かわいいかわいい。

それにちょっと頼もしくも感じます。リードしてもらってるからかな?


結局私達は、クリスさんが(もちろん王子様バージョンで)迎えにくるまで、ずっと練習していたのでした。




********************************



「本当に2曲踊ったら、帰っていいんですよね!?」

「ええ、私が連れ出してあげますから、安心しなさい」

「・・・別に最後まで居てもいいんだぞ?」

「絶対!嫌!です!」


現在、扉の前で入場待ちです。王族の方々は入場に順番があるらしく・・・


「じゃあリィナ、私は先に行きますので」

「クリスさん、絶対2曲終わったら来てくださいね!」


クリスさんは、こういう行事(?)には王族として参加しないらしく、一人で貴族用の入口(と言っても、参加者はみんな貴族らしいですけど)に行ってしまいました。


入場を待っている間に小さなハプニングがありました。

姫様が私と入場したがって、シオン様(旦那様と呼んだら訂正されました)と睨み合っていたり。

その隙にユーリ殿下が私と入場しようとして、姫様に蹴られていたり・・・


そして現在、入場中。


痛い


視線が痛い!


『誰だあの女』的な視線が!


旦那様と腕を組んで、ホールの中を連行(?)されているのですが、もう本当、居たたまれません。

年頃の可愛いお嬢様達からの睨みつけるような視線と、

そのご両親であろう方からの明らかに私を値踏みする視線と、

その他の方からの興味津々な視線と!


ひぃぃぃぃぃぃ!


王族の立ち場所に着く頃には、すっかり縮こまって旦那様の影にこそこそ隠れようとしていた私。

「リィナ、大丈夫だ。落ち着け」

「しおんさまぁ」

「リィナが可愛く着飾っているから皆がこちらを見ているだけだ。視線を上げてみろ」

「むりですよぉ」

「大丈夫だ。ダンスの時も大丈夫だったろう?」

そう言って、旦那様は開いてる方の手で私の頭をなでてます。

半泣き状態で、恐る恐る顔を上げて見ますと・・・


「な?好意的な視線が多いだろう?」

「・・・睨んでる人も多いです」

「そうか?」

「きっと、大したこと無い女が王子様に連れられているのが問題なんですよぅ」

「・・・」

「私と一緒に居たら、旦那様の評判まで下がっちゃうかもしれないし」

「・・・リィナ」

「はい」

「前から思っていたんだが、どうしてお前はそんなに自己評価が低いんだ?」


じこひょうか?ひくい?


「・・・そうでしょうか?」

「ああ。最初から妙に自己評価が低い。メイドの仕事もそれ以外の仕事もそつなくこなしているし、見た目も性格も悪くない。立ち居振る舞いだってすぐに社交界に出れるレベルだ。もっと自信を持っても、」

「こんなときに、そんなお世辞は逆効果です」

「ほら、どうしてそう、」



―――――国王陛下ならびに王妃陛下のご入場です!


なんだか旦那様と言い争いに発展しそうだったタイミングで、両陛下が入場してきました。淑女の礼しなきゃ!


旦那様はそんな私を見て、これ見よがしに溜息をついていました。




************************************



そして、陛下の開会の挨拶(宣言かな?)が終わり、陛下と王妃様が踊り始めました。

この曲が終わったら、私も踊りに・・・ううー、お腹痛くなりそう。


「そんなに緊張しなくてもいい。」

「ムリです。ダンス自体が初めてなのに、それをこんなに沢山の人の前で踊るんですよ」

「・・・ジャガイモだと思えば、」

「人間をジャガイモだと思える人は、そもそも緊張なんかしませんよ」

「・・・」

旦那様がなんだか“じーっ”と私を見て、なんか考えています。

「なんですか?」

「じゃあ、こういうのはどうだ?・・・緊張すると交感神経が刺激されるんだ」

「は?」

「そうすると、身体の代謝機能が高まる。」

「はぁ。それがなにか?」

「新陳代謝が良くなるわけだから、キレイになる」

「え!」

「ついでに緊張状態は、食欲中枢を抑制するのでいつもより食欲が落ちたりするから・・・痩身効果も期待できるかもしれない」


なんですと!

そういえば、昨日の午前中に舞踏会参加が決まって以降、緊張してあまり食事をとっていないにも関わらず、空腹感がありません!


「どうだ?もっと緊張したくなってきただろう?」

旦那様はニヤリと笑ってそういいました。

・・・そうか緊張でキレイになれるのか。

「クリスとユーリが選んだドレスも、キーラのメイクも、本当に良く似合っている。踊り始めたらますます緊張するだろうから、もっとキレイになれるぞ」


もっとキレイに・・・


そんな話をしているうちに、1曲目が終わっていました。


「さあ、行こうリィナ」

「はい」


“キレイになれる”という言葉に、上手く乗せられたということに気づいたのは、1曲踊り終わる頃でした。










シオンの言っている「緊張するとキレイになる」はリィナの意識を緊張から逸らす為に言っていますので、実際どうなのかというのに興味がある方はご自身でググることをお勧めします。ちなみに新陳代謝が良くなると肌がきれいになるって良く聞きますけど、常に運動不足の私には縁がなさそうです(泣)

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