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63 支度中

すみません、1日分の話が飛んでしまっていましたので、修正しました。話の流れに変更はありません。

「―――ここで何をしている、ユーリ」

「リィナのドレスを選んでるんだよ」

「なんでお前が―――」

「シオンが選ぶの?いいけど、そういうの苦手じゃなかったっけ?」

「・・・」

「ちゃんとシオンの隣が似合うように選んであげてるから、そのへんは安心してよ」

「・・・」

「今ね、オレンジのドレスとピンクのドレスを試着してもらったんだけど、どっちがいいかなぁ。そうだ、シオンは何色着る?白?黒?グレー?それによっても少し変わるかなぁ」

「・・・」

「リィナって日本人にしては色素が薄いよね。肌もきれいだし。シオンとしては肩とか出てたり胸元が開いてたほうが目に楽しかったりする?」

「・・・」

「・・・ねぇクリス。僕こんなにシオンに睨まれなきゃならないようなことしてる?」

「ユーリ、お前は少し空気を読め。シオンもそのくらいにしなさい」


部屋に入ってきてワイワイガヤガヤとうるさい王子様3人組・・・(リィナ)は衝立越しに話を聞いているのですが・・・

さっきから試着を手伝ってくれているキーラさんの米神が、ピクピクしていて・・・「リィナ、少し待っていなさい」と言い置いて、衝立の向こうに消えていきました。


「空気を読むのはあなたもですクリスさん!いいかげんにしてください御三人とも!試着中だといっているでしょう!出て行きなさい!」

「え、僕も?」

「あたりまえです!ユーリ様、私は先ほど『次の間でお待ち下さい』と申し上げましたが?」

「・・・そうかな」

「申し上げました。なのに何故この部屋の中に居るんですか?」

「えっと・・・一人で待ってるのがひまだったから?」


キーラさんの声がどんどん怖く・・・いや、低くなっていきます。

ユーリ殿下も、お願いだからこれ以上キーラさんを怒らせないでくださいよ、本当に。


「つべこべいわずに出て行きなさい!」


特大の雷が落ちたようで、3人は部屋から出て行きました。ホッ。


ちなみにここはいつも利用させていただいている客室の、寝室です。

寝室内に更に衝立を立てて、試着室代わりにしております。まあ、それはいいんですが、衝立があるとはいえ、男性3人が部屋に入ってきた時は、さすがにビックリしましたよ。だって、ドレスを着るために下着姿だったんですもの。それほど広くない寝室内、覗こうと思えば覗けてしまうではないですか!まあ、女性の着替えを覗いて楽しむような人たちではなさそうですけどね。




「うーん、なんか違うなぁ」

「そうですね、リィナはもう少し深い色がいいかもしれません」

「えー、そうかなぁ」

「そうですよ。どうせなら・・・そうこの位が」

「深紅?うーん、そんな濃い色じゃなぁ」


クリスさんとユーリ殿下が試着を終えた私を見て全否定です。・・・あなたたちが着ろと言ったドレスを着たんですけど?ちなみに旦那様はまだお仕事があるらしく、とっくに退室されました。


それにしても、もう何度試着したことでしょう・・・疲れました。

「もう何でもいいです。」

というか、欠席したいです。という私の呟きは見事にスルーされました。しくしく。


「・・・キーラ、このドレスは何?透けてるけど?」

「それは、薄手のドレスの上から合わせる物です。光の加減で表の色が反射して見えたり、中のドレスの色が透けて見えるので、」

「これにしようよクリス!これなら深紅でもいいよ!」

「お前の『これなら』の基準が良く分からないが・・・じゃあリィナ、コレを着てください」


・・・はぁぁぁぁぁ。


結局、この2枚重ねドレスで決まりました。もうクタクタです。

ユーリ殿下はドレスが決まったら満足したのか、部屋から出て行きました。

キーラさんは試着してたドレスたちを片付けてます。

そして、クリスさんは・・・

「じゃあ、ドレスが決まったところで、次はダンスの練習ですよ、リィナ。・・・涙目になってもダメです。リィナが踊れないと、パートナーをリードできなかったとシオンが恥を掻きますからね。」


鬼だ!やっぱりこの人、鬼だ!


そしてダンスの練習は、夜まで続いたのでした・・・




******************************




「123、123・・・だいぶ良いですよ」

「・・・」


明けて翌日の午後。

現在、クリスさんとステップの練習中・・・



「リィナ、もう少し笑顔で」

「・・・ムリ」

「足元ばかり見ないで。踊っている最中は、パートナーを見るものですよ

「ムリデス」

「・・・少し休憩しましょうか?」

「是非!」

「やっと顔を上げましたね」

休憩の言葉に顔を上げた私の目の前には、苦笑したクリスさんのご尊顔が・・・アップで見ても整ってますね。



「それにしてもダンスって、結構ハードなんですね」

「初めてにしては上出来ですよ。リィナは運動神経がいいですね」


褒められましたが、そもそも踊ったことなんてないんですから、無茶振りもいいところなんです。

私が踊ったことがあるのは、フォークダンスとか盆踊りとか、あと体育の授業くらいです。


「最初の3曲は同じ曲が流れますから、その1曲だけ覚えていればいいですから」


1曲目は王様と王妃様だけが踊って、2曲目から旦那様たち王族の皆様も参加するそうです。3曲目からはその他の参加者の方々も加わるので、私は2曲目と3曲目を踊ったら、ノルマ達成!とのことです。


「クリスさん、そろそろ準備が・・・」

キーラさんが声をかけに来てくれました。準備?

「そうですね。じゃあリィナ、仕度が終わった頃、また来ますね」


そう言って、クリスさんは部屋を出て行きました。


・・・準備?

「キーラさん、準備って?」

「もちろん、ドレスを着るための準備ですよ。さあ、まずお風呂ですね」


にーっこり笑ったキーラさんが、恐ろしく見えたのは気のせいではないと思います。






お風呂でゴシゴシ洗われました。前は自分で出来ますっ!て言ったので、背中と髪をゴシゴシされました。


そして、なんだか良い香りのクリームを肌にヌリヌリされ、髪にはベトベトしないオイルを垂らされツヤツヤに!

なんか女子力上がった気分!って人にやってもらったものは女子力に入らないかな?


そして、ドレスへの着替え。コルセットなんて初めてつけましたよ!でもキーラさん曰く、これはコルセットではなく只のボディースーツ扱いだそうです。「若い娘がコルセットをつける必要はありません!」と言われました。若いと言われることに、どうしても慣れません。

「リィナはどうして若返るのが嫌なの?」

私の表情を見て、キーラさんが聞いてきます。

「私、やっと三十歳(このとし)になって、年相応に見てもらえるようになったんです」


幼い頃はともかく、思春期に入る頃には、実年齢よりも下に見られていました。別に背が小さいわけでもないのに。それは成人してからも変わらず―――


「私、22歳の時に高校生に間違われました」

「・・・そ、そう」

「25の時には、仕事で訪れた大学で新入生に間違われ・・・サークルに勧誘されました」

「私くらいの年になると、うらやましいと思いますけどね。リィナは若く見られるのがコンプレックスだったのねぇ」

「はい。付き合った彼氏が実はロリコンだと周りから聞かされてショックを受けたこともあります。」

「えっと・・・」

「いくらなんでも子供には見えないでしょう私!」

「そ、そうね」

「背は平均より高いし、発育だって良い方です!なのにどうして!」

「リィナ落ち着いて。そうね、雰囲気の所為かしらね?」

「私、そんなに子供っぽいですか!?」

「ええっと・・・」


ちなみに、話をしながらもキーラさんはテキパキと私にドレスを着せていきます。プロですね。着替え終わった頃には、私も嘆き疲れていました。うううっ。

ソファに座って肩を落としていたらキーラさんが頭を撫でてくれました。だーかーらー!子供扱いが嫌なのにー!!


「・・・何をしているんだ?」

「リィナがぐずっているんです」

「そうか」

「違いますっ!」

「そうか」


旦那様が部屋に入ってきました。・・・なんというか、

「王子様バージョン、ですか?」

「なんだそれは」


以前、見たことのある騎士団の正装を、白くした感じの服です。地球でよく見る王子様の正装っぽい。髪も後ろに撫でつけてて大人っぽく見えて―――カッコイイ・・・はっ!?いやいやいや、旦那様だから!いつも見てる旦那様だから!あの(・・)旦那様だからっ!


「リィナ?どうした?」

「いえ!なんでも!なんでもないです!」

「・・・そうか」


怪訝そうな顔をしている旦那様を尻目に、キーラさんは私を鏡台の前に座らせ髪を結い始めます。

ハーフアップにして小さなパールを沢山連ねたような飾りで止めただけの髪型です。飾りが揺れてシャランと音を立ててます。シンプルだなーと思ってたら毛先を少し巻くそうです。そうですよね、シンプルすぎますよね。


その間、ずっと旦那様の視線を鏡越しに感じていたのは・・・きっと、気のせいでしょう。うん、気のせいだ!気のせい気のせい。














シオン好みにされていってるんですが・・・リィナ、現実逃避中。

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