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5 この国の事1

メイド長は、旦那様が側まで歩いてくると、壁側にスッと寄り、一言話しながら、丁寧にお辞儀をする。


おおおおっ! リアルメイドの "お帰りなさいませ" だっ

何言ってるか わからないけど、きっと "お帰りなさいませ、旦那様" だっ


思わず、メイド長を凝視してしまった。

しかし、空気を読むことも、もちろん忘れない。

私もあわてて、旦那様へお辞儀した。


「シオン様、お食事はどうなさいますか?」

クリスさんがそう尋ねる。

ちなみに、これは日本語で。気を使ってもらっちゃって、すみませんねぇ。


・・・そういえば、クリスさんは旦那様って呼ばないね。


旦那様は少しだけ考えてからクリスさんに言った。

「・・・食堂で3人でとる」

「かしこまりました」


この会話の間、私とメイド長は、ずっと頭を下げっぱなしです。

うーん、メイドさんって大変だ。


旦那様が通り過ぎたあと、ようやく頭を上げるとクリスさんが言った。


「それでは莉奈さん、食事の準備をしましょうか」




・・・食事の準備って ?..........まさか、初めて来た世界で、私が作るとか言わないですよね?????




*******************************************



食事の準備・・・とは、食事に行く(・・・・・)準備の事でした。


ああ、びっくり

まあ、いきなり異世界(あちらの)料理を作れなんて、言われないか。


食堂で3人でとる・・・とは、旦那様、クリスさん、私の3人で食事をするということだったらしい。


メイド長とは別れて部屋に戻り、クリスさんが服を選んでくれる。


食事のときに着替えるって、私のような庶民は習慣に無いので、いったい何を着たらいいのかすら、わからなかったのだ。

結局、さっき着ていたのとあまり変わらない服になった。

さっきの服は昼間用、この服は夜間用らしい。


私には昼用と夜用の違いがよくわからないが・・・襟元がさっきよりも少しだけ、深く作られている。

この服もフリーサイズな感じで、ユッタリ作ってあるので、(かが)むと胸元が見えちゃうかも・・・気をつけよう。

ともあれ、イブニングドレスとかじゃなくてよかった。。。



毎日同じ服を着るわけにはいかないし、後で昼用と夜用の違いを説明してもらわなきゃ----

そう思いつつ、またクリスさんを部屋から閉め出し、着替えをする。



着替え終わって廊下に出ると、クリスさんは居なかった。


・・・とりあえず、待とう。下手に動くと迷子になるよね。


・・・・・・・・・・・あっ、来たっ


どうやら、クリスさんも着替えてきたらしい。

廊下の端から、私に気づいて、急ぎ足で来てくれた。


金髪碧眼のクリスさん、よく見ると、顔も整っている。背も高いし。

子供の絵本に出てくる王子様って、この人をモデルにしたのかと思うぐらいは、格好良かったりする。


ただ、なんとなく・・・この人『何考えてるかわからない』分類の人だ。

つまり、惚れはしないけど、目の保養としては最高級かも。


「お待たせしてしまいましたか? では、行きましょうか。」

そう言って、食堂に先導された。


う~~~ん

召喚された理由が"勇者"とか"賢者"とか"お姫様"とかだったら、エスコートしてくれたのかもねぇ


わたし、メイドだからなぁ


・・・ちょっと残念。




*********************************************


クリスさんに連れられて、食堂へ入ると、旦那様はまだ来ていなかった。

「莉奈さん、そちらにおかけください」

クリスさんに指定された席へ向かうと、人の良さそうなおじいちゃん(?)が椅子を引いてくれた。


「ありがとうございます」

お礼を言うと、優しそうに笑って頷いてくれた。あっそうか、言葉通じないんだっけ。

でも笑ってくれたって事は、ニュアンスで通じたのかな?


クリスさんは、私の向かい側に座っている。

ということは、"お誕生日席"が旦那様の席ね。


おじいちゃん(推定)は、クリスさんの側まで行き、

なにか一言話してから、部屋を退出したので、とりあえず、聞いてみた。


「あの、クリスさん。今の方は?」

「執事長ですよ」


・・・・ごめんなさい。おじいちゃんじゃ無いよね。50代だって、さっき聞いたね。。。


「まあ、彼は老けてますからね」

私の微妙な表情で察してくれたのか、クリスさんはそんなことを真顔でさらっと言う。

「それに、日本人は若く見えるので、莉奈さんから見たら、彼は70才位に見えるんじゃないですか?」

「いや、さすがに70才には見えませんけど・・・」


あれ?


「そういえば、私、日本から来たって、言いましたっけ?」

「聞いてませんよ。もともと日本人が来るのが確定してましたから」

「召喚されてくるのって、みんな日本人なんですか?」

「いいえ、いろんな国の人がいますよ。基本、どの国の人になるかは、呼んでみるまで不明です。ただ、今回は『日本人女性』が確定していたんです」

「・・・・はい?」

「日本人をピンポイントで、召喚したんです」

「・・・・なぜ?」

「主に、言葉の問題です」

「それは、旦那様とクリスさんが、日本語を話せるからですか?」

「まあ、それもありますが、メイドとして働いてもらわなければなりませんので、一日も早く、こちらの言葉を話せるようになってもらわなければなりません。それで、こちらの言葉と"文法が同じ"である"日本語"を話す"日本人"を召喚条件に入れてもらったのです。」

"いやー、根回しが大変でしたよー"なんて、苦笑しているクリスさん。


根回ししてまで召喚した日本人が、私ですか?

わたし、メイドの仕事は、したことありませんけど!?


あっ、旦那様が来た・・・



***********************************************************



すぐ食事なのかと思ったら、違ったようだ。


どうやら、旦那様は『管理局』とよばれる役所(?)へ行き、私を召喚した事の手続きをしてきたらしい。


「これが渡された書類一式だ」

そう言って、なんか、色々な書類が入った鞄を渡される


・・・なんだろう、この『A4サイズの書類が入る』プラスチックの書類ケース、こちらの世界でもポピュラーなの?

あっ、シールが貼ったままだ・・・・・・この、明らかに見たことあるロゴは・・・


全国展開している、有名な100円ショップ製だった。


しばらく唖然としてしまう。


「・・・そのロゴを見て、驚くのが日本人の特徴らしいな」

「・・・他にも?」誰か居たんでしょうか

「そうらしい。とにかく、中の書類を今確認してくれ」

「は、はい」


中に入っていたのは、仮の身分証明書(異世界人証明書か?)、小冊子や地図などが何冊か、こちらのお金など・・・


その中の、一冊の小冊子を見て、非常に驚いた。


『その日から読む本-----突然の召喚に戸惑わないために----   発行:日本国政府』


ああ、本当に・・・・・・夢でもなんでもなく、国家レベルの取り決めで、こちらに来てしまったのだ・・・


旦那様に食前酒を勧められたけど、飲んでる場合じゃない。

食前酒を断って、私はその本を開いてみた。



次に本の中身(目次だけですが)を載せようかと

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