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30 旦那様の正体

私はいま、大変なピンチに見舞われています。


手の中には、片手で握れるサイズの小瓶

瓶の中には、赤くて透明な液体


これを、飲めと言われています。ガラの悪い騎士1人と侍女3人の、合わせて4人に取り囲まれながら。

ちなみに、残りの騎士2人は、表で見張りのようです。

それと、おじさんたちは帰ったようです。


ヤバイ、ヤバイですよっ

ピンチですよっ

だって、この液体は、どう考えても私に有利になる飲み物ではないですよね?

下手したら、死にますよね?


なんですか騎士さん・・・え?死なない?

毒じゃないから、早く飲め?

いやいやいや、飲みたくないですよっ!


どうしよう。


なんとか時間を稼ごうと、キヨロキョロしたり、オドオドしたり、うるうるしていたら、さすがに相手も焦れたようで、男が私から瓶を奪いました


女性3人に取り押さえられて、床に座らされます。

ああ、これ、無理やり飲まされるパターンですね。


顔を上げさせられ、顎をつかまれて口を開けさせられ・・・


すぐに助けに来てくれると思ってたのに


ホントに、毒じゃないよね?


無理やり口に含まされ、嚥下させられたところで、建物の外がなにやら騒がしく・・・

ケホッ、なにこれ、イチゴシロップに漢方薬を混ぜたような変な味っ


ケホケホッ

コホコホコホッ


取り押さえられたまま、涙目で咳き込んでいた私。


急に『ドカッ』とか『ドン』とか『バタン』とか『バンッ』という音が後ろからして、なにかが起こっているのはわかるんですが・・・助けに来てくれたんでしょうか。


遅い、遅いですよっ

もうすでに、変なもの飲まされちゃったじゃないですかっ

バカー

来るならもっと早く来てっ


「「リィナ」」


二人が同時に呼ぶ声を聞いたあと、私は意識を手放したのでした。






********************************************





リィナの監禁されている建物に着くと、まずクリスが動いた。

クリスは、普段から部下に指示を出し自分ではあまり動かないことが多い為、ウィルでさえ驚いたようだ。

瞬きするほどの間で、見張りを倒す。

その流れるような早業に、後ろに控えていた兵士たちが感嘆のため息をつくのを感じる


リィナを囮に使うことを提案してきたのはクリスだが、クリスはクリスなりに、この状況に対する憤りと、リィナに対する後ろめたさがあったのだろう。

それとも、指示を出す間も惜しかったのかもしれない。


クリスの手で見張りが倒れると、ウィルが片手を振って部下に突入する旨の合図を送る

急に踏み込むことによってリィナに危険が迫る可能性もあるが、それよりも無事を確認したかった。


扉を蹴破るウィルに続いて、室内に入る。

中の様子に思わず目を見張った


リィナが、3人がかりで体を押さえつけられ、床に座わらされて、咳き込んでいる

リィナの正面に立っている男の手に、小瓶が握られているのを確認したとたん、思わず声を上げていた

「「リィナ」」

同時に声を上げたクリスが、腰の剣を抜く。

「クリス!!待て」

ウィルが止めようとするが間に合わない

チッ

あの男をクリスに切らせる訳にはいかない。少なくともリィナの飲んだ薬が分かるまでは。

男はクリスの一撃を避けたが、体勢を崩し後ろに転がった。


その僅かな間で、腰の剣を鞘ごと抜きクリスと男の間に入ると、クリスの剣を鞘で受け止める。


ガキンッ


無茶な止め方だが、幼い頃から何度も手合わせをしている俺だから、出来る。

剣を止めた衝撃で、少々腕が痺れている・・・あいかわらず馬鹿力だな


「クリス=ルカリア、剣を引け!」

「・・・シ、オン」

「ウィル!剣を」

すこし呆然としているクリスから、ウィルが剣を取り上げる

クリスに切られるところだった男は、青い顔で腰を抜かしているところを、騎士達が取り押さえる。


「シオン、様・・・申し訳」

「後だ。リィナが先だろう」

男から取り上げた小瓶を騎士に渡される

においを嗅ぎ、残っている液体を指にとり、口に含む。


自白剤------しかも・・・


クリスに小瓶を渡し、気を失っているリィナを介抱している騎士から奪い、抱きかかえる

すぐにでも解毒剤が必要だ。

それも、安全な場所で。


「ウィル!」

「はい」

「ここと・・・クリスを頼む」

「御意。シオン様はどちらに?」

「・・・リィナに解毒を。」



それだけ言うと、俺は足早に東翼を後にした。




****************************************




・・・ィナ、リィナ!


名前を呼ばれているようです。

返事をしようと思うのですが・・・声が出ません


「ん・・・」

「リィナ、気づいたか?」


旦那様の声ですね。

目を開こうと思うのですが・・・んんんんんんっ!

頑張ったら、少~しだけ、目が開きました。

うっすらと、見え・・・だ、旦那様っ!ち、ちちちち近いですっ

顔がアップですよっ、イケメンが、目の前にっ

ビックリしたため、目はしっかり開きました。


思わず、後ずさろうとして・・・体が、動きません。

うんんんんっ・・・・無理。指先が少し動くだけです。


私、ベッドに横になっているみたいですが・・・ここはどこでしょう?

首が少しだけ動いたので、キョロキョロしてみたら、旦那様が教えてくれました。

「私の部屋だ」


なぜ?

なんで私、旦那様の部屋で寝てるんですか?


ん?ということは、旦那様のベッドに寝てるんですか、私?


んん?ベッドに寝ている私の目の前に、旦那様の顔があるんですが・・・


・・・


・・・さすがに、旦那様に何かされるとは思わないですけど、

とりあえず私の上から退()きましょうよ、というか退()いてください、旦那様。


"ど・い・てーーー"という思念が届いたようで、旦那様は退いてくれました。ホッ。


「薬を飲まされたのは、覚えているか?」


はい、飲まされましたね。無理やりね。助けに来てくれたところで気を失いましたね。

・・・なので、とりあえず私は無事なんですよね?薬飲まされただけなんですよね?そうですか、よかった。


「助けるのが遅くなって、すまなかった」


ホントだよ!


「動けないのは解毒剤の副作用だ。薬が中和されれば、じきに動けるようになる。しばらくここで休んでてくれ」

はい。動けないので、遠慮なく休ませていただきます。


小さくコクンと頷くと、頭をなでられました。


「またあとで、様子を見に来る」


そう言って、旦那様は部屋を出て行きました。

じゃあ遠慮なく、休ませていただきましょう。おやすみなさい。------




*******************************************




時間は少し遡り・・・

リィナを抱えて東翼を出たシオンは主居棟へ向かうか医療棟へ向かうか少しためらった。

医療棟に行けば医師の診察を受けられるが、あまりリィナを人の目に晒したくなかったから。


少し考えて、自室へ向かうことにした。


主居棟に入り、真っ直ぐ自室へ向かう。

途中ですれ違う者たちの視線は・・・無視し続ける。

自室の前にいる2人の騎士に「誰も通すな」と言付けて、中に入った。


リィナをベッドに寝かせ、隠し扉から解毒薬を取り出し・・・


あれ?

寝てる人間に、どうやって飲ませれば良いんだ?


・・・


少し考えてから・・・執事長に聞いてみることにした。

通信機を用意して、屋敷に連絡を取ると、すぐに執事長が出た。

『はい』

「フレッドか?私だ」

『旦那様、どうかされましたか?』

「意識のない人間に薬を飲ませるには、どうしたらいいと思う?」

『・・・シオン様、一体王宮で何をなさっているんですか』

「何って・・・」

『誰に飲ませるんです?』

「リィナだけど」

『・・・リィナに何をするつもりですか』

「解毒薬を飲ませる」

『・・・つまり、リィナが毒を盛られたということですか』

「えっと・・・自白剤だけど」

『・・・』


沈黙が気まずい・・・俺なんかまずいこと言ったのかな

しばしの沈黙の後、フレッドは大きなため息をついた

『ハァ・・・』

「フ、フレッド?」

『少しずつ口に含ませるしかないでしょう。スポイトはありますか?』

「無い」

『口を開かせることは出来そうですか?』

「分からないが・・・口に入れても上手く飲み込ませられるかどうか」

『では女官にクラッシュアイスを用意させて、氷に薬をかけて、氷を少しずつ口に含ませると良いでしょう』


なるほど!


『キーラさんをそちらに向かわせます。シオン様、くれぐれも意識の無い女性に無体なことはなさらないで下さいね』


そして通信が切れた・・・無体なことって何だ?


早速女官にクラッシュアイスを用意させて、薬を混ぜ、リィナの口に運ぶ

指先でつまめる大きさの氷をリィナの唇につけると、フッと唇が開いた。

開いた唇に氷を押し込めると、しばらくして氷が解けたのか、喉が上下に動く・・・飲み込んだようだ。


しばらく同じように続け、嚥下に問題がなさそうなので、今度はスプーンで薬の原液を流し込んだ。

解毒に十分な量を飲ませ終わり、ホッと一息ついたところで、リィナが苦しそうにしていることに気づく。


ああ、そうか。解毒薬の副作用で体が動かないのかもしれない

少しでも無理の無い姿勢で寝ていられるように、枕や体の位置を整えていると、リィナの呼吸が落ち着いてきたのが分かった


「リィナ、リィナ!」

頬をペシペシ叩きながら呼ぶと、うっすらと目を開ける・・・よかった。

ホッとしたのもつかの間、リィナに驚愕(?)の目を向けられる

そして、首を小さく動かしキョロキョロされる

ここがどこだか気になるのだろう

「私の部屋だ」

そう答えると、何故だか胡乱気(うろんげ)に見られている・・・なんとなく気まずいので退()くことにする

"しばらくここで休んでてくれ"というと、コクンと頷くので、頭をなでた。

一人のほうが落ち着くかな?と思い、私は寝室を出ることにした。





****************************************




クリスがウィルと共に関係各所への指示を終え、シオンの部屋へ着いたのは、ちょうど1刻ほど経った後だった。



居間のソファに居る私に、クリスが問いかける。

「・・・リィナは?」

「解毒薬を飲ませた。今は寝てる」

「そうですか」

明らかにホッとした様子のクリス。いつものクリスに戻ってるのを見て、こっちも安堵する。


すると、クリスはその場で跪いた。

「先ほどは、申し訳ありませんでした。・・・お()め頂いて、有難うございました」

「ああ。気にするな。」

臣下としての姿勢を崩さないクリスに寂しさを感じたが、立ち上がったクリスが、何やら物騒な気配をしている・・・


「さて、謝罪も済んだし」


そう言ってこっちに詰め寄ってくる。思わず反射的に立ち上がってしまった・・・

まずい。こいつ、なんか怒ってる。


リィナを危険な目に巻き込んだからか?

でも、リィナを囮に使う案を出したのはクリスだし。


「言いたいことはわかるな、シオン」


至近距離で見下ろされる・・・身長は同じ位なのに、明らかに見下ろされている・・・

何が言いたいのか、正直分からないが、逆らわないほうが身の為だという事はわかる。


「すまなかった。反省してる」

「ほぉ反省?何に対して反省してるのか教えてもらおうか、今すぐ。」


いつもの『家令』としての口調ではなく、完全に昔の口調に戻ってる。

メガネを外して軍服を着たこの姿は特に、昔を思い出す。

まずい

口論で『クリスお兄ちゃん』に勝てた(ためし)はない。


「リ、リィナを危険な目にあわせたから・・・?」

「何故疑問形?・・・確かに薬は想定外だったけどな。それ以外は想定内だろう」


え、そうなのか・・・


「問題なのは、お前の行動だろう!なぜリィナを自室に連れ込むんだ、馬鹿かお前」

「何かまずいか?」

思わず呟いたら、火に油を注いだようだ。

威圧感がハンパ無い。何か言い訳を・・・

「い、医務棟へ連れて行ったら、検査だの何だので解毒が遅くなるし」

「確かに。だが自室に連れ込むのはまずい。表の騎士に『誰も通すな』と言ったそうだな」

・・・言った。

「女性を抱えて『誰も通すな』と言ったんだな?」

「?・・・うわっ!」

そこまで言われて、何を問われているか気がついた。

つまり表の2人は、俺が寝室に女性を連れ込んだのだと・・・そういう勘違いをしてる!!


「仕事熱心な彼らは、俺の入室を必死で拒んだぞ」

「・・・」

「誤解は解いておいたから、安心しろ」

「・・・ありがとうクリス」

嫌な汗をかいた。

キーラが来たら、リィナを客室に移そう。うん、そうしよう。

「それで?表の2人以外には、誰にも見られていないんだろうな?」


ニッコリ笑ったクリスの顔を、これほど怖いと思ったことはなかった・・・



クリスへひたすら謝罪して『女性を連れ込んだ訳』を王宮内に周知して、ようやく一息ついた頃、キーラが到着した。


ソファでグッタリしている私とクリスを見て、首をかしげてはいたが、寝室に居るリィナの事を頼むとすぐに様子を見に行った。

よく眠っているようだというので、動けるようになったら移動する為の、客室の準備をキーラに頼んだ。




**********************************************




「リィナ、目が覚めましたか?」


んんー・・・キーラさん、ですか?

「はい、おはようございます・・・?」


あれ?朝ではないですよね。

寝ぼけてしまっている私を見て、キーラさんは少し笑った。


「具合はどうですか?体は動きますか?」


んーと、腕なら。重いですが、なんとか動きます。


「起き上がれそうですか?」


腕に力を入れて、上半身を起こそうとしますが・・・うぬぬぬぬっ・・・無理そうです。

キーラさんが手を貸してくれて、ようやく上半身を起こせました。

お手間をおかけいたします。


「キーラさん、ここって旦那様の部屋って聞いたんですけど」

「ええ、そうですよ。シオン様のお部屋です」

「・・・ここ、お屋敷ではないですよね」

「ええ、王宮です」

「旦那様は王宮にもお部屋があるんですねー」

「それはそうですよ。いわばご実家な訳ですし。」


実家!?

王宮が実家って、なんですか!?


「リィナ、あなた本当に何の説明もしてもらっていないのね。まったく、あの2人は・・・」

キーラさんは怖い顔をしたあと、

「ちょっと待っていなさい。」

そう言って、部屋を出て行きます。なんでしょう?


しばらく経つと、旦那様とクリスさんが入ってきました。

「リィナ、本当に無事でよかったです。」

クリスさんにすごーく優しく言われました。そもそも助けるのが遅いんですよ!

「体が本調子に戻るまでは、ゆっくり静養してください」

そう言って、頭をなでられました。


ところで、旦那様着替えたんですね。それ、軍服ですか?

黒い軍服って、なんだか学ランに見えますね。

でも、なんというか、その軍服って・・・

「なんか、王子様っぽい格好ですね」

「リィナ、この二人は王子様ですよ」

は?

「キーラさん、シオン様はともかく、私は王子ではないですから。」

「・・・私も、王子ではないと思うのだが」


クリスさんの言い訳に続いて、旦那様も控えめに言い訳を始めたら、キーラさんが怒りました。

「この期に及んでまだそんなことを言いますか!お二人とも、今回の経緯をきちんとリィナに説明しなさい!」

キーラさんに怖い顔で睨まれて、旦那様は気まずそうな顔を、クリスさんは苦笑いをしてます。


とりあえず、クリスさんに聞いてみましょう。

「王子様、なんですか?」

「シオンはね。私は王族ではありますけど、王子ではないです。」

ほう、王族なんですか。最近はもう見慣れてきましたけど、金髪碧眼で王族だなんて、ベタですね。

次は旦那様に聞いてみましょう。

「王子様、なんですか?」

「うっ・・・ちがっ」

「「違わないでしょう!」」

キーラさんとクリスさんの突っ込みに、旦那様はたじたじです。


「リィナ、本当にごめんなさいね。この2人があなたに何の説明もしないものだから、こんな危険な目に遭わせてしまって」

「は?」

どういうことですか?と目で訴えて見ます。


「私は、事前に危険性と対処法をきちんとリィナに話すように、言いましたよね?それを無視してこちらの世界に不慣れなリィナを危険な目にあわせるなんて、どう責任を取るんです!」


キーラさんが二人に対して、怒ってくれています。

でも、なんだか気になることを言ってますね・・・


「つまり、危険性が分かっていて、対処法があったんですかー。それは是非、詳しく聞かせて頂きたいデスネー」

精一杯のジト目で二人を交互に見ながら、説明を求めます。


曰く、事件の根本にあったのは『お世継ぎ問題』だったらしい。


最近、とある理由で発言力が落ちてきてしまった旦那様。

『謎の侍女』を連れて会議に行くと、"あれは誰だ"ということになり、

『王妃か王女の侍女』または『花嫁候補』または『その両方』という噂になる。

そうすると、『自分の娘を王子様に!』と画策している貴族一派が、侍女の素性を探ろうと接触してくる。

そして、画策している貴族一派というのは、王家に対して『謀反』を企てている一派なので、

首謀者たちの正体を突き止め、めでたしめでたし・・・という筋書きだったらしい。


「その筋書きでは『謎の侍女』に貴族一派が接触してきた時点で終了、ですよね」

つまり、おじさん達に出会った時点でミッションクリアーな感じ?


「ええ、まさか連れ出した挙句、自白剤を使うなどと・・・」

クリスさんが、苦々しく、申し訳なさそうに言っています・・・が、私はだまされません!

「自白剤が出てきたのは、私に『お答えできません』以外のセリフの選択肢がなかったからですよね!?」


あなたが"それ以外の発言はするな"と言ったよね?


「いや、えっと・・・まさか、ホントにそれ以外言わないとは・・・」

「はぁ?上司から"言うな"と言われているのに、それ以外をペラペラしゃべるとでも思ってんですか!・・・なに目を逸らしてんですか!」

「いや、あの・・・」

そして、いつもの腹黒さがすっかり消えてしまって、気まずそうなクリスさん。フプッ、いい気味です。


「ですから、私は事前にリィナに役柄の説明と、目的を伝えるようにとあれほど・・・」

私がクリスさんを追い詰めていた隙に、キーラさんが旦那様を説教中です。

旦那様、すっかりお母さんに叱られる子供・・・いえ、怯える子犬のようです。

「ほ、本当に、すまなかったと思って・・・る」

言葉に詰まる様は、なんだか年相応の男の子に見えますね。


「つまり、私は説明不足で危険な目にあわされたんですね。」

「説明不足というか、連絡ミスというか・・・」

「報告・連絡・相談は仕事の基本です!社会人として常識です!」

そんなミスは、見過ごせません!


「大体、連絡ミスで私を巻き込んだんですか?薬まで飲まされて、まだ体が動かないんですけど?王子様だか王族だか知りませんが、身分の高い人は使用人を軽んじてるってことですか!」

「ち、違う!そんなことは」

「リィナ、本当にすみませんでした」

「まさか本当に最悪の事態が起こるとは思わなくてだな」

「なんですって?・・・ということは、『最悪の事態』として、こうなることも予測できていたってことですよね?」

なるべく冷たく聞こえるように、言ってみました。

ワタワタしてる旦那様とクリスさんを見て、ちょっと溜飲が下がりました。


ふん。今はこの位で許してあげましょう。

ここが日本で、彼らが自分の部下だったら、リスク管理について小一時間ほど説教をしてやりたい気分ですよ。

まったくっ











やっと『王子』登場。

ちょっとイレギュラーな王子なのです。その説明は今後の話で。

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