23 遅く起きた朝は・・・
帰り道のリィナ視点です
みなさん、おはようございます。リィナです。
すがすがしい朝・・・のはずなのに、
私はいま非常に・・・頭が痛いです
・・・二日酔いです。
あたまいたい--------
ううううう、ガンガンする
「リィナとりあえず、これ飲んで」
アリッサちゃんからお薬を頂きました。
おかしいな、そんなに飲んでないのに。
「飲んでたから!リィナも相当、飲んでたから」
アリッサちゃんに激しく突っ込まれました・・・ところでナンシーさんは?
ああ、起きれませんか。うん、彼女は私より飲んでましたしね
「ほら、ナンシーも薬。早く飲んだほうが楽になるよ」
「うううううう・・・ありがとう、ありっさ」
「ところでアリッサちゃん」
「アリッサでいいよ。なあに」
「その・・・やっぱり旦那様には早めに謝りに行ったほうがいいです、よね。」
私が恐る恐るそう言うと、ナンシーが反応した。
「ううう・・・だんなさま? なんで?」
「ナンシーさん、記憶が無いんですか?」
「・・・覚えてない」
「まったく、ナンシーは。リィナは覚えてるんだ」
「一応、覚えてますよ」
昔から、飲んでも記憶はなくならないんですよ。
ところで
「旦那様、怒ってます、かね?」
「うーん、どうだろう。呆れてるとは思うけど、おこってるかなぁ?」
「ねぇ・・・わたし、何かした?」
「ナンシーさんは、なんというか・・・・・・何もしなかった」
「うん。何もしなかったね。ナンシーは」
自分で歩きもしなかった
アリッサがポソっと言ったら、ナンシーは目に見えて引きつった
「わたし、どうやって帰ってきたの?」
「うーんとね。ナンシーはクリスさんが抱っこ。リィナが、旦那様」
「イヤーーーーーーーーーーーーーッ」
アリッサのセリフに、悲鳴を上げるナンシーさん・・・
いやいや、大丈夫だよ、ナンシーさん
私に比べれば・・・ねぇ
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お店を出た後、私は旦那様に手首を掴まれて、歩いていた
「ほら、リィナ。しっかり歩け」
「歩いてますよ」
少し酔ってるだけですっ
「ミシェルー、くっつかないでってばー」
「フフフフっ、だってアリッサ抱き心地いいんだもんー」
「キャー、どこ触ってんのよっ」
ミシェルのほうが、よっぽど酔ってますよね
ふーん、アリッサちゃんは抱き心地がいいんだ。
きれいな深緑の目にストレートの黒髪、体形は小柄で少しふっくらしているアリッサちゃん。
なんかギューってしたくなるんだよねー
「アリッサちゃん、私も抱っこしていい?」
「リ、リィナ!?なに言ってんの」
「えー、だって。抱き心地がいいってミシェルさんが言ってるー」
「やだーーーーーー」
「行っちゃった」
こんど再チャレンジしようっと
「リィナ、立ち止まるな。ほら、帰るぞ」
旦那様はそう言って、私の手首を引っ張ります・・・
ひょっとして子供扱いですか!?
「シオン様、遅くなりました」
店に残ってたクリスさんが、追いついてきました。
「あー、ナンシーさんお姫様抱っこだー」
意識の無いナンシーさんを、クリスさんが抱っこしてますよっ
ナンシーさん、いいなー
あっ、ちなみにクリスさんに抱っこされている事に対しての”いいなー”ではなく、
わたし今日すごく疲れてて、もう歩きたくないなーって意味です。
「リィナもあとで、抱っこしてあげましょうか?」
クリスさんがそう聞いてきます。あとでって・・・
そういえば、歓迎会での皆さんの話を思い出しましたよ!!
「しなくていいです。」
「おや、なぜ?」
「さっき、歓迎会でみなさんが、クリスさんは俺様腹黒鬼畜で裏表ありすぎの人だって言ってたんだもの」
・・・クリスさんって、本当にどんな人なんですかね
「リィナ、みなさんというのは、一体誰のことですか」
「そんなの言えません。わたし、みなさんに嫌われてしまいますよ」
「では、みなさんにはリィナが話したことは黙っておきますから、教えてください」
「いや」
そんなやり取りをクリスさんとしていたら、急に旦那様に質問されました
「リィナ、私の話は何かしていなかったか?」
「旦那様の話ですか?・・・んー、特には。」
あれ?そういえば・・・
「ああ、でもお二人とも"手が早い"んだって言ってました。あと、旦那様は"ある意味かわいそう"だとか、"自分で望んでいるわけではない"とか?」
あれ?旦那様、微妙な顔してますね
顔に不本意って書いてありますよ
「リィナ、他には?」
「んー・・・ああ、マイクさんも女癖がわるいって・・・」
「「それは、どうでもいい。・・・マイクと一緒にするな!」」
旦那様とクリスさん、息がぴったりですね。きれいに声が重なってますよ。
「まあ、いいか。リィナ、話してくれたご褒美に、”お姫様だっこ”してやろうか」
お姫様だっこ!
「ええっ本当?いいんですか?」
「お前が、嫌じゃなければ・・・」
「嫌じゃないですー」
うれしい!歩かなくてすむ!
もう、ヘトヘトなんです・・・
掴まれていた手首を離してもらったので、旦那様の首に両腕をまわします。
そういえば、こんな近くで旦那様を見たのは、初めてですね。
召喚された時から、なんか距離を置かれている感じがしていましたからね。
抱きかかえられて、思いました。
旦那様、結構鍛えてますね
細マッチョ・・・の分類になりますかね。意外とたくましいです。
いつもスーツだから、体形など気にしたことなかったですね。
ああ、ちなみに旦那様もクリスさんも、地球でよく見るスタイルのビジネススーツを基本着ています。
「旦那様、重くないですか?」
旦那様が無言なので、とりあえず、重くないか聞いてみました・・・
返答は ”思っていたよりも、軽い” とのこと。・・・正直すぎるだろ
「そんなに重く見えてたんですか」
こういうときは、重くないよって言っておきましょうよ。
でないと、モテないよ?
ただでさえ、”顔のいい”クリスさんと一緒にいるのにー
んん? あれ?
「旦那様の顔・・・はじめてじっくり見ました」
茶髪・茶目は最初から認識していましたけど、顔のつくりをじっくり見たことってなかったですね
・・・かっこいい、ですね
目元は涼やかですし、鼻筋もきれいです。とても凛々しいお顔立ちです。
クリスさんとはまた違った感じで、王子様フェイスですよ。
さすがに20才の男子なので大人の色気はないけれども、その分若々しいしね。
いつも難しい顔をしていたり、たまに眉間にしわが寄っていたりするから、気づきませんでしたよ。
「旦那様も『イケメン』だったんですねー」
「イケメンってなんだ?」
「『イケてるメンズ』で、イケメンです」
うーん。こちらの言葉での説明がめんどうー
「シオン様、褒め言葉ですよ。リィナはシオン様を"かっこいい"と言ってるんですよ」
そうそう!クリスさん通訳してくれてありがとうっ
「リィナ、私とシオン様では、どちらが『イケメン』だと思いますか?」
おおっと、面倒くさい質問が来ましたよっ
うーーーーーーん
「どっちもかっこいいですけど、クリスさんの方が、顔は良いかなぁ」
「それはそれは。ありがとうございます」
「でも、かっこよすぎて観賞用な気がします」
だってクリスさん。笑顔に裏がありそうなんだもの。
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「・・・そのあとは、なんだか眠くなってしまって、ちょっとうろ覚えなんですけど、旦那様が、部屋まで連れて来てくれたのは、覚えてますよ。」
「リィナ、結構しっかり覚えてるね」
アリッサがびっくりしています。
わたし記憶力は、いいほうなんですよ
「クリスさんに抱きかかえられたとか・・・ありえないっっっっ」
ナンシーさん、涙目です。
「ナンシーさんは意識が無かったんですから・・・私なんて、旦那様に喜んで抱っこされてしまいましたよ」
「ナンシーは不可抗力だとしても、リィナに関しては、あれは旦那様から言い出したんじゃない?」
まあ、そうですけど・・・
若い男子にお姫様だっこされている、アラサー女子って、どうなのよ!?
イタイ、イタイよっ
「旦那様・・・もう起きてますかね?」
「そうね。この時間なら、執務室じゃない?」
「では、謝りに行ってきます。ほら、ナンシーさんも行きましょう?」
こういう事は、早めに謝ったほうがいいんです。
なんか、いろいろダメージが大きかったのか、普段よりおとなしいナンシーさんを連れて、旦那様の執務室に向かいます。
「ナンシーさん。こういう事って、いままでもありましたか?」
「こういう事?」
「旦那様がお迎えに来ることです」
いままでにあったかなかったかで、謝り方が違うと思うんです。もちろん私は初めてなわけですが、旦那様的には良くあることなのか、無いことなのか・・・
「無いわ。旦那様が迎えに来たのは・・・リィナがいるからよね。」
「え?そうなんですか」
なぜでしょう
「召喚主だからね」
「・・・なるほど」
そういえば、初日にもらった書類の中に、いろいろ書いてありましたね。
召喚主は、召喚者の生活に関する義務と責任があるらしいです。
召喚者が異世界でつつがなく生活出来ていないと、罰則があるらしいですよ。
「ナンシーさん、ここでの旦那様に対しての最大級の謝罪の仕方を教えてください」
ここは手を抜かずに、謝りますよっ
そして私はナンシーさんに謝罪の仕方を教わり・・・
二人で旦那様の執務室をノックしたのでした。
次話は、帰り道のシオン視点です。
酔ってる本人の回想と、シオンから見たリィナと、両方書きたかったんですー




