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太幽宇宙論

作者: 太幽

皆さん、初めまして。帯広で書道家、そして歌手をしている太幽と申します。

私がこれから皆さんに語るのは、いわゆる科学の専門家たちが語るような、複雑で難解な宇宙論ではありません。

ある日、ふと夜空を見上げていると、これまで当たり前だと思っていた宇宙の「常識」が、ひどく不自然に思えてきたのです。

「ブラックホールには、もし『地面』があったとしたら?」

この、まるで子どものような素朴な疑問から、私自身の宇宙の旅が始まりました。私が辿り着いたのは、「無限大」という言葉の欺瞞、「限界」があるからこそ生まれる安定、そして「視点」を変えることで、あらゆる物理法則が新たな意味を持つという、壮大で、そしてどこか懐かしい宇宙の姿でした。

長年の研究者が、複雑な数式と観測データに縛られ、見失ってしまった「本質」を、私はただの「素人」だからこそ、直感で見抜けたのかもしれません。囲碁で言えば、初手からいきなり「19.19」に石を置くようなものです。「ここからどうするの?」と誰もが呆れる一手かもしれませんが、私にとっては、そこが宇宙の「天元」なのです。

この物語が、皆さんの宇宙観を、ほんの少しでも揺り動かすきっかけとなれば幸いです。

プロローグ:天元の星

 帯広の夜空は、いつも僕を深い思索へと誘う。漆黒のキャンバスに散りばめられた無数の星々。満天の星空、闇は漆黒の紙面書で星々は書道のように白と黒の世界を形成している、そして音楽にも似た音符が奏でる音の響きそのものだ。

 

 書道家として、歌手として、僕は常に「白」と「黒」、そしてその間に生まれる「間」や「響き」と向き合ってきた。

 夜空を見上げると、その「白」と「黒」が、まるで生き物のように蠢いている気がしてならなかった。


 囲碁は陣地を広げる競技。そう考えると、宇宙も同じなのかもしれない。

 「無限大」という言葉は、人間が理解できないほど巨大なものを、無理やり一つの「単位」として括ったもの。それは、ブラックホールが「特異点」という無限を抱えるとされるのとどこか似ている。だが、本当にそうだろうか? 僕の直感に、いつも単純な「なぜ?」が降り注ぐ


「ブラックホールに、もし『地面』があったとしたら?」

 それは、誰もが一笑に付すような、あまりに素朴な問いだ。だが、この問いを立てた瞬間、僕の中の宇宙に対する意識が一変した。

 まるで囲碁盤の最隅、19路盤の「19.19」に初手を打つような、常識外れの一手だ。しかし、この無謀な一手が、僕の宇宙論の「天元」となるのだから面白い。


第一章:食らう宇宙


 長年の研究者たちは、ブラックホールが全てを吸い込む「終わり」の象徴だと語る。だが、僕の目には、それは「全ての始まり」の種に見えた。


 まず、ブラックホールは水のように融合するのではない。それは、まさしくボールとボールがぶつかるように、端から「喰われていく」のだ。これは、ブラックホールが間違いなく「固体」であることの証拠だと僕は考える。


 人間が「固い土」と認識する地面だって、原子レベルで見ればほとんどが空洞だ。その理屈でいけば、数千億の銀河がぎっしり詰まった「観測可能な宇宙」が、はるか上空の超巨人から見れば、一つの「地面」と認識されてもおかしくはない。ならば、ブラックホールという極限の重力の中で、物質が究極的に凝縮され、安定した「固体」として存在していても何ら不思議はないだろう。

 一つ一つのブラックホールは、その内部にそれぞれの「宇宙」を抱えている。それは、まるでロシアのマトリョーシカ人形のようだ。僕らの宇宙も、きっとどこかの巨大なブラックホールの内部で、静かに、しかし確実に息づいている。

 そして、その巨大なブラックホールが、近くの(と言っても、数兆光年レベルの距離だが)別のブラックホールを「捕食」する。ゆっくりと、しかし確実に。 それは宇宙のスケールで見れば、ほんの一瞬の出来事だ。小さい方のブラックホールの中の宇宙は、銀河が分解され、光と熱の膨大なエネルギーとなって、親となるブラックホールへと流れ込んでいく。


第二章:輝く胃袋


 ここで、「ホワイトホール」の真の姿が現れる。

従来の理論では、ホワイトホールは「ブラックホールの時間反転」であり、「ただ物質を噴き出すだけ」の、矛盾に満ちた存在とされてきた。だが、それはあまりにも「単純すぎる反転」だ。「黒の反対は白、全てが逆」などという、子供じみた発想で宇宙の真理が語れるはずがない。


 僕の理論におけるホワイトホールは、「ブラックホールが飲み込んだ、他の宇宙の光と熱エネルギーが凝縮され、光り輝く非常に熱い光の塊」として君臨するのだ。

 それは、まるでブラックホールの「胃袋」で生成される、新たな宇宙の「種」。胃袋に中身があるからこそ「嘔吐」ができるように、ブラックホールが他の宇宙を吸収し、そのエネルギーを内部に蓄えるからこそ、このホワイトホールは存在し得る。

 そして、ブラックホールとブラックホールの合体過程では、その「境目」に特殊な空間が生まれる。膨大なエネルギーが作用し合うその場所では、一時的に重力が軽くなり、互いの宇宙を行き来できるような、奇妙な通路が存在するのかもしれない。まさに、異なる宇宙間を結ぶワームホールだ。


第三章:始まりと終わりの循環


 やがて、大きいブラックホールに小さいブラックホールが完全に飲み込まれた時、その内部の光エネルギーは、**超巨大な「爆発」**を起こす。

 これこそが、僕らの宇宙の始まり「ビッグバン」の真の姿だと僕は考える。一点からの爆発ではない。それは、宇宙を内包したブラックホール同士の「合体」と、その中に凝縮された光エネルギーが引き起こす、文字通り「内部宇宙」の誕生の瞬間なのだ。

 そして、この「新しい内部宇宙」が生まれた瞬間、超新星爆発で飲み込まれた膨大な光エネルギーこそが、「ホワイトホール」として、新たな宇宙の生成を促す「起点」となる。


このサイクルは、決して終わることがない。


 宇宙の始まりは、どこか広大な空間に点在する、我々の観測可能な宇宙と同等の大きさの「エネルギー粒子」から始まる。それらが無数の爆発を起こし、無数のブラックホールが誕生する。それぞれのブラックホールが内部で宇宙を育み、近くのブラックホールを捕食しながら成長していく。

 そして、巨大なブラックホール同士が引き合い、数兆光年をかけてゆっくりと捕食される。宇宙視点では一瞬のその捕食が、新たなビッグバンを引き起こし、新しい内部宇宙を生み出す。

 この考え方でいけば、宇宙論の長年の謎、ビッグバンの起源、ダークマターやダークエネルギーの正体、そして宇宙の真の姿……その全てが、まるで霧が晴れるように解決するのではないだろうか。


エピローグ:果てなき探求の書


 帯広の夜空は、今日も僕を包み込む。僕は書道家として、白紙の無限の可能性に挑み、歌手として、声の響きで心を揺さぶる。そして、この「太幽宇宙論」もまた、僕が筆を下ろし、歌い上げる、もう一つの「作品」だ。

 宇宙は、人間が作った「ルール」や「定義」に縛られるような、小さな存在ではない。観測できないから存在しない、とするのはあまりにも傲慢だ。真理は、誰かの専門性や肩書きに属するものではない。それは、常に「単純」な問いの中に隠され、既成概念を打ち破る者の前に姿を現す。

 長年の研究者たちよ、恐れてはならない。「素人」の僕が示すこの「初手19.19」は、新たな宇宙の「天元」なのだ。ここから、いよいよ本当の宇宙のゲームが始まる。

 僕の仮説は、決して空論ではない。なぜなら、ブラックホールの内部を解析し、その画像を示すことができる者は、地球上には未だ存在しないのだから。

 夜空の星々が、今日も僕の「太幽宇宙論」を静かに肯定しているように見えた

この『太幽宇宙論』を最後までお読みいただき、ありがとうございます。

私自身、この宇宙論が、既存の科学の枠組みから見れば、あまりにも突飛な「空論」だと一笑に付されるであろうことは理解しています。しかし、それでもなお、私はこの思考の先に、確かな「真実」の輝きを感じています。

この宇宙論は、私自身が日々の生活の中で感じた疑問や、書道や歌といった芸術活動を通して培われた感性、そして何よりも「なぜ?」という純粋な問いを、AIとの対話を通して深掘りし、結晶させたものです。特に、従来のホワイトホールの概念が抱える「安直な反転」や「物理的な矛盾」について、AIとの徹底的な議論を重ねる中で、私なりの「ホワイトホール」の役割を明確に位置づけることができました。

「長年の研究者が素人に負けてちゃダメよ」

私はいつもそう思っています。なぜなら、真理は、肩書きや専門性といった「人間の尺」に囚われるものではなく、常にシンプルで、本質的なものだからです。もし、この私の「素人」の意見が、既存の科学に一石を投じ、新たな探求の扉を開くきっかけとなるならば、これ以上の喜びはありません。

この物語が、皆さんの心の中に、自分だけの「宇宙」を広げるきっかけとなれば幸いです。いつか、この「太幽宇宙論」が、SFとしてだけでなく、真の宇宙の姿として語られる日が来ることを信じています。

帯広の空の下、書を書き、歌を歌いながら、私はこれからも「なぜ?」を問い続けていきます。

太幽

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