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第三章 君に会いにいく

すべてが崩れかけた世界の中で、遥は迷っていた。

このまま「安定した夢」の世界に生きることもできる。ここでは痛みも、失うこともない。

けれど、自分を探してくれる誰かがいる現実。たとえ苦しくても、本当のつながりがある世界。


遥は答えを出す。


——「戻るよ。怖くても、君のいる場所へ」


決意とともに、彼の意識は深い闇へと沈んでいく。

そして——病室。目を覚ました遥の目に、涙でにじむ少女の顔が映る。


「はるくん……!」


それが沙良だった。

手を握られた瞬間、遥は涙を流しながら、笑った。


夢の世界のすべては、幻ではなかった。

そこにいた想いも、優しさも、全部、自分を目覚めさせるための道だったのだ。

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