幕間
運搬部の作業が終わった後の静かな倉庫の一室に明りが灯る。
室内には7人の男達。中には額に汗を光らせた者もあった。
「ろくなものが無かったようだな。これじゃ、二束三文にもなりゃしねぇ。ここ最近とことんついてないな」
一人息を乱さぬままふんぞり返る男が、目の前に並べられた光る石を見ながら吐き捨てるように呟く。
倉庫内に保管してあるゴミの中には売れば金になる物がそこそこある。
まだまだ使える家具や、魔道具の類、そして使えなくなった魔道具から取り出した魔石だ。
人気のない時間にこうして残っているのは小遣い稼ぎのためなのだ。
ただ、まとまれば相応の金額となるため、ここにいる全員が”美味しい思い”をしてきたのだ。
「副支配人、もうこんな真似は止めた方がいいんじゃありやせんか?」
狸みたいな顔をした男がおずおずと尋ねた。
「馬鹿、その呼び方はするなと言ってるだろ」
イスに座ったその男は声を荒げて叱りつけた。
「ボス、確かに今しばらくは大人しくしていた方が身のためだ。今はとにかく時期が悪い」
ハイエナによく似た男が諭すように告げる。
「そんな事はわかっておる。」
その男はイライラと足を揺すりながら返事を返すと、さらに続けた。
「で――、例の件、いつやるんだ。もう悠長に構えてる暇はないぞ」
焦点の定まらない視線を漂わせながらその男は大声を上げた。
「心配はいらねぇ。もうすぐだ」
ハイエナ男の瞳が、闇の中で妖しく光った。




