12話 スキル【言霊】の真の力
「※AI生成」「AI generated」
俺がモルモル――いや、正式には下級神モルベスト・ルミス――から授かったスキル【言霊】は、分類としては“補助系”のスキルだ。
このスキルは、俺が発した“効果のある言葉”に応じて、自分以外の他者に補正効果を与えるというもの。
初級スキルゆえに、一つ一つの効果には限界がある。能力を爆発的に引き上げるような派手さはない。
だが、代わりに【言霊】には“発現できる効果の数に制限がない”という特性がある。
だからこそ、複数の効果を重ねがけし、相互に補完しあう構成――それが、俺とモルモルで練り上げた運用方針だった。
中には、他の効果そのものを変質させるような【応用型】も存在する。
そんな拡張性の高さもあり、このスキルは戦術の中核になり得る……はずだった。
――だが、今回の戦闘で、俺は知ってしまったのだ。
【言霊】はまだ、俺が把握していない“とんでもない特性”を隠し持っていたことを。
これは後日の話になるが、その事実をモルモルに報告したとき、
彼女は目をまんまるに見開いて、しばらく口をぽかんと開けていたほどだ。
……つまり、俺のスキル【言霊】は、ただ**「能力値」に作用するだけのものではなかった**。
実際には――
“スキル”や“シーツ”にも影響を及ぼしていたのだ。
俺がこのことに気づいたのには、訳がある。
きっかけは二つ――まず一つ目は、ジョンジョンがあの凶暴なニワトリを真正面から叩き落としたときのことだ。
ジョンジョンが持つスキル【抗う木偶なる魂】は、本人の話によれば、いわゆる“火事場の馬鹿力”に近いものだという。
発動すれば、能力が瞬間的に――確か1分程度――2倍になる、というなかなかの効果を持っている。初級スキルとしては破格の性能だ。
その代わり、使用は1日1回まで。それがこのスキルの大きな制約でもある。
だが、あの戦いの前――実は、すでにジョンジョンは一度、そのスキルを使っていた。
俺が「この岩、どかしてくれない?」って頼んだ時、彼は一瞬でそれを持ち上げて見せたんだよね。
その直後、少し申し訳なさそうに、こう言っていた。
「……もう今日は使えないけど、大丈夫かな?」
その言葉通りなら、本来、あの戦闘で再びスキルが発動するはずがない。
――にもかかわらず。
ジョンジョンは、あのニワトリ相手に【抗う木偶なる魂】をもう一度発動していたのだ。
つまり、スキルの本来の使用制限を超えていた。
……いや、捻じ曲げていた、と言った方が正しいかもしれない。
そしてもう一つのきっかけは、スーベさんの“投擲”だ。
彼が戦闘中に取得したと思われる“物を投げる”系のシーツ――
体がほのかに発光した直後から、彼の投石の精度が明らかに上がっていた。
最初は、まっすぐ飛んでいく石をニワトリが翼をバタつかせながら打ち落としていたんだけど、最後の一撃だけは様子が違った。
投げられた石は途中で弧を描き、わずかに軌道をずらして、まるで翼を避けるようにして命中したんだ。
……まるで意志を持っていたかのように。
“石”だけに、ね――
(……くだらない冗談はさておき)
この二つの出来事を見て、俺は確信した。
――俺のスキル【言霊】は、単なる身体能力の補助や強化だけじゃない。
スキルや特技、果てはそのルール自体にまで、干渉する力を持っている。
そしてホルスさんのあの猛烈な突破力からも、彼のスキル効果そのものも高めたいた。
俺が本気で願った時、仲間の力になりたいと強く思った時――
その「想い」が、他の人のスキルやシーツに変化を起こしていた。
言葉に宿った気持ちが、仲間に届き、スキルを、世界の仕組みすら揺るがす力へと変えていく。
……そんな、とてつもない可能性を秘めていたんだ。
もしこの力が、まだ成長の途中だとしても――努力を怠らなければ、
俺はきっと、もっと大きなことができるようになる。
そう、言葉一つで、未来すら変えられるくらいに。