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のほほん異世界暮らし  作者: みなと劉


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65/409

65 秋刀魚の塩焼き

秋が一層深まり、花咲村の夕暮れは涼しさを増してきた。風が冷たく吹き抜け、秋刀魚を焼くために火をおこすのにもぴったりの気候だ。今日の晩ご飯は、先日行商人から買った新鮮な秋刀魚の塩焼きに決めていた。


「さあ、始めるか。」

僕は台所の囲炉裏に薪をくべ、火を起こす。火が安定するまで、秋刀魚を手に取り、塩をまぶしていく。薄く塩を振ることで、魚の旨味が引き立つ。新鮮な秋刀魚にはこれくらいがちょうどよく、余計な調味料は必要ない。


「ちょっと強めに塩を効かせて…」

秋刀魚の皮に塩を振りながら、ふと思い出す。昔、母が作ってくれた秋刀魚の塩焼きはいつもこうして塩加減を大事にしていた。あの懐かしい味が今でも頭に浮かぶ。


火が安定し、囲炉裏の火が程よく温まったところで、秋刀魚を網に乗せて焼き始める。魚が網に乗ると、ジュッと音を立てて脂が滴り落ちる。それを見ているだけで、焼き上がるのが待ちきれない気分になる。


「いい香りだ…」

魚の皮がパリっと焼け、身がふっくらと膨らんでくると、周りに香ばしい匂いが広がる。焼きあがるのを見守りながら、少しずつ火加減を調整し、焦げすぎないように気をつける。


数分後、秋刀魚が完璧に焼きあがった。黄金色に焼けた皮が美味しそうで、口の中に広がる香りを想像しただけで、食欲が湧いてくる。


「よし、出来上がった!」

僕は焼きたての秋刀魚を囲炉裏から取り出し、皿に盛りつける。周りには、少しの大根おろしを添えて、アクセントにする。さらに、レモンを少し絞って、さっぱりとした味わいも加えよう。


香ばしい香りが漂う中、秋刀魚をひと口食べてみる。外はカリッと香ばしく、内側はふっくらと柔らかい。塩の加減が絶妙で、魚本来の旨味が口の中で広がる。


「これだ…!」

その一口で、心も体も温まる。秋刀魚の塩焼きは、季節の変わり目を感じさせる、まさに秋の味覚そのものだった。


「今年の秋はこれを何度も味わおう。」

僕はもう一口、秋刀魚を頬張りながら、これからの季節の楽しみを噛みしめた。



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