63 夏の静けさと秋に近づく
祭りの熱気もすっかり冷め、花咲村は再び穏やかな日常を取り戻していた。夏の終わりを告げる風が、木々の間をさざ波のように通り抜け、村の広場はひっそりと静まり返っていた。暑さが少しずつ和らぎ、空気の中に秋の気配が忍び寄ってきているのを感じる。
「今年の夏も、もう終わりか…」
僕は畑の隅に立ちながら、ふとそんなことを思った。サマーオーブの実がすっかり収穫され、夏を象徴するあの爽やかな果実も、今はもう何もない。
秋の足音が確かに近づいてきている。木々の葉はまだ緑色を保っているが、ほんのりと黄色く染まりかけた葉がちらほら見えるようになった。風も、夏の蒸し暑さが消え、爽やかな冷たさを感じさせる。畑に植えたオータムアップルの芽も、順調に成長してきており、秋の訪れを告げる新たな作物が育っている。
「そろそろ、秋の準備を始めなきゃね」
僕はそう呟き、近くに見える梅の木を見上げた。春には梅の花が咲き誇り、今ではその枝に小さな実が成り始めている。もうすぐ、収穫の時期がやってくるだろう。梅干しや梅酒を作る準備も、そろそろ始める時期だ。
秋はまた新たな作物の収穫と、冬に向けた準備が続く季節だ。僕の頭の中には、これからの農作業とともに、村で過ごす穏やかな日々の風景が浮かび上がっていた。
「秋が来ると、もう少しだけゆっくりできるかもしれない」
僕は深呼吸をして、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んだ。これから訪れる秋の季節は、きっと忙しくも心地よいものになるだろうと、少しワクワクしながら畑に戻った。
夜になると、星が夜空にまたたき、秋の夜の静けさが村を包み込んでいった。




