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39行商人から冬に強い種を購入した

秋も深まり、畑の作物が次々と収穫を迎える中、僕は冬支度を考え始めていた。冬の間も畑を守りたいが、寒さに弱い作物は栽培が難しい。そんなとき、村に再び行商人のラルクが訪れた。


ラルクは季節ごとに村を訪れ、各地で仕入れた品を売っていく旅人だ。前回の訪問でオータムアップルの苗を譲ってくれた彼は、今回は冬に強い作物の種を持ってきたという。


「やあ、また来てくれたんだね。ちょうど冬に育てられる作物があればと思っていたところなんだ」


僕が挨拶すると、ラルクはニコニコと笑いながら荷車を引いてきて、「今回は冬に強い種を持ってきたよ。寒さに耐えられる作物は、特に寒冷地の村々で重宝されているんだ」と話してくれた。


彼が荷車から取り出したのは、「スノーキャベツ」と呼ばれる種だった。スノーキャベツは寒さに強く、冬の間でも緑の葉を茂らせることができる。霜が降りるような厳しい寒さでも育ち、冬場の貴重なビタミン源として村人たちに愛されているらしい。


「これはすごくありがたい種だね。冬にこういう野菜があると、食事が豊かになるだろうな」


僕はスノーキャベツの種を手に取り、その小さな粒をじっと見つめた。これが冬の間にしっかりと育ち、村の食卓を彩ることを思うと、期待が膨らんだ。


「育て方は簡単さ。土をしっかりと肥やして、寒さ対策さえしておけば、あとは自然に任せて構わない。冬の間も葉がぐんぐん育つのを見るのは、なかなか楽しいものだよ」とラルクが言った。


早速、僕はスノーキャベツの種を畑の一角に植え、霜よけの対策として、少し厚めに土を被せた。寒い季節に耐えて育つこのキャベツは、春を迎える頃に収穫の喜びをもたらしてくれるだろう。


「また次に来るときには、きっと立派なスノーキャベツを見られるだろうな」


ラルクはそう言って村を後にし、僕も彼の後ろ姿を見送った。畑に新しい作物が増えることで、冬もまた忙しく、そして楽しみが増えることだろう。


スノーキャベツが根を張り、雪に包まれた畑で緑の葉を広げる姿を想像しながら、僕は次の季節を楽しみにし始めた。



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