185 深まる友情と種族を越えた愛情
秋の風が冷たさを増し始め、夜には家の中でも冷気を感じるようになってきた。季節の移ろいを肌で感じながら、シャズナはいつもの場所で丸くなって眠っていた。その小さな体が冷たい風にさらされないよう、そっと毛布をかけてやると、彼は一瞬動きを止めて、寝ぼけた瞳でこちらを見上げた。そのまま甘えるように鳴き声を上げ、「にゃー」と小さく返事をする。そして再び目を閉じて、心地よさそうに身を丸めた。
その姿を見つめていると、胸の奥にじんわりと暖かいものが広がっていく。シャズナとの関係はただの飼い主とペットの域を超えて、深い友情と心の絆で結ばれていることを感じる瞬間だった。だが、それだけではなかった。シャズナの瞳に映る自分の姿、寄り添ってくる仕草には、友情を超えたものがあった。種族の違いを越えて、彼は愛情さえ感じてくれているようだった。
翌朝、少し肌寒い空気の中で市場へ向かう。シャズナはすぐ横に寄り添い、いつも以上にくっついて歩いていた。行商人たちの活気に満ちた声が響く中、一人の行商人が微笑んでこちらに声をかけた。「かなり好かれているね」と言われ、思わず顔が赤くなった。シャズナはその言葉を理解しているのかどうかは分からないが、にっこりとこちらを見上げて「にゃー」と誇らしげに返事をした。その小さな姿に胸が締め付けられる思いだった。
「今日は冷えるから、暖かいスープを作るのもいいかもね」と行商人が提案してくれたので、早速スープの材料を購入することにした。人参、玉ねぎ、そしてじゃがいもなど、心を温めるスープにぴったりの具材が揃った。シャズナもその買い物袋をじっと見つめていて、何か楽しみにしているような目をしていた。
家に戻り、キッチンでスープの準備を始めると、シャズナはいつも通りにキッチンの端に座ってこちらを見守っていた。野菜を切る音、スープが煮える音が家の中に心地よく響き、その音と共に漂う香りにシャズナのしっぽがゆっくりと動き始めた。スープが出来上がる頃、彼は嬉しそうに「にゃー」と鳴いて、まるで期待に満ちた表情を見せた。
「今日は一緒に暖かいスープを楽しもうね」と声をかけると、シャズナは喜んでこちらに近づき、しっぽをふりふりさせながら甘えてきた。暖かいスープを前にして、種族の違いを越えたこの友情と愛情が、これからも続いていくことを願わずにはいられなかった。




