183 栗ご飯を作るぞ
収穫した栗の実を籠に入れて家に持ち帰ると、秋の夕日が窓から優しく差し込んできていた。収穫の喜びを胸に、今日はこの新鮮な栗を使って栗ご飯を作ることにした。シャズナは興味津々で台所の足元に座り、こちらの動きをじっと見守っている。しっぽはゆったりとした動きでふりふりし、時折耳をぴんと立てる様子が何とも愛らしい。
「栗ご飯を作るんだよ、シャズナ」と話しかけると、彼は「にゃー」と短く返事をしてまるで分かっているかのような表情を見せる。栗の外皮を剥く作業は少し手間がかかるものの、その分だけ料理への期待が高まっていく。包丁で栗の固い外皮を丁寧に剥き、中のやわらかい実を取り出すたび、栗の淡い香りが漂い始めた。
剥き終えた栗を白米に加え、塩を少々振り入れて炊飯器にセットする。スイッチを入れると、すぐに炊ける準備の音が響き、部屋は静寂に包まれた。時間が経つにつれ、栗ご飯の甘く豊かな香りが徐々に立ち上り、空間全体を優しく包んでいく。シャズナはその香りに敏感に反応し、しっぽをさらに大きく振りながら、時折耳をぴんと立てて待ち遠しそうにしている。
「もうすぐ炊けるよ」と声をかけると、シャズナは瞳をキラキラと輝かせ、「にゃー」と嬉しそうに返事をした。彼がその場所でじっと香りを楽しむ姿は、まるで料理の時間を共有し、同じ期待を抱いている仲間のようで、思わずうっとりとその可愛さに見入ってしまう。
やがて、炊飯器から「ピッ」という合図が響き渡り、栗ご飯が炊きあがったことを知らせてくれた。蓋を開けると、ほかほかの湯気が立ち上り、栗のほのかな甘みが一層引き立つ香りが部屋中に広がった。ふっくらと炊き上がった米の中に、黄金色の栗が宝石のように散りばめられており、その見た目だけでも食欲をそそる。
シャズナは蓋を開けた音に反応し、すぐに「にゃっ」と声を上げて駆け寄ってきた。炊きたての栗ご飯の匂いを間近でかいで、さらにしっぽを勢いよく振り、耳を立てて興奮を隠せない様子だ。そんな姿を見て、こちらの心も満たされる。
「さあ、シャズナ、一緒に食べよう」と言うと、彼は小さく「にゃー」と鳴き、嬉しそうにその場でくるりと回った。秋の夜が静かに訪れる中、栗ご飯を囲んでの夕食は、何とも心温まる時間となりそうだった。




