177 祭りと花火大会が終わり
花火大会が終わり、夜空に広がっていた色とりどりの光も静かに消えていった。人々の歓声も徐々に遠ざかり、夏祭りの賑やかさが少しずつ日常へと戻っていく。
自宅へ戻ると、シャズナは玄関で足を止め、振り返るように外を見つめていた。その耳は立ったり折り曲げたりと忙しなく動き、しっぽも軽くふりふりしていた。決して機嫌が悪いわけではないが、どこか寂しさを感じているようだった。
「どうしたんだ、シャズナ。楽しかったか?」と声をかけると、シャズナはゆっくりとこちらを見て、にゃーと静かに鳴いた。その表情にはどこか物憂げなものが宿り、まるで今年の夏が終わることをもう感じ取っているかのようだ。
涼しい風が窓から吹き込み、部屋の中に心地よい夜の空気が流れ込む。シャズナは窓辺に近づき、夜空を見上げる。もう花火は消え去り、星の光だけが静かに輝いていた。
「大丈夫だよ、シャズナ。また来年も、夏祭りがあるからね。」そう言って頭を撫でると、シャズナは再び小さくにゃーと返事をし、心なしか少しだけ安心したような顔を見せた。




