のほほん異世界暮らし

176 夏祭りとシャズナと花火大会

夏の夕暮れ、町に賑やかな声とともに祭囃子が響いていた。今日は夏祭りの日。シャズナにとっては初めての夏祭りだ。色とりどりの提灯が並ぶ道を、シャズナを連れて歩くと、その瞳がいつも以上に輝いているのがわかる。

「どうだ、シャズナ。これが夏祭りだよ。」そう声をかけると、シャズナは嬉しそうににゃーと一声鳴き、しっぽを軽く揺らして応える。露店から漂う甘い綿菓子や香ばしい焼きとうもろこしの匂いに、シャズナは興味津々だ。

祭りの賑わいを楽しんだ後、花火大会の時間が近づいてきた。川沿いの広場に移動し、夜空に向かって最初の一発が上がる。その音が空を揺らし、シャズナは一瞬驚いて耳をぴんと立てるが、すぐに視線を夜空に戻した。夜空いっぱいに咲いた大輪の花火が色とりどりに広がり、その光に照らされてシャズナの瞳はキラキラと輝く。

「すごいな、シャズナ。」とつぶやくと、シャズナはその美しい光景に夢中でにゃーとも言わず、ただ目を輝かせて見入っている。

大きな花火が続く中、シャズナの反応を見ていると、こちらの心もほっこりと温かくなる。シャズナと一緒に見る初めての花火大会は、何よりも特別で忘れられない思い出となった。