174 海の幸とシャズナのしょんぼり
今日も行商人が市場に訪れ、色々な海の幸を持ってきてくれた。海老、貝、烏賊と、どれも新鮮で美味しそうなものばかりだ。特に烏賊は、長い触手と輝くような白い身が魅力的で、つい手が伸びてしまう。
「これはいい烏賊だな、これは買いだな。」と、僕は行商人と話しながら、他の海の幸も見ていく。
「こちらの貝も新鮮ですし、海藻類もありますよ。よかったらどうぞ。」と行商人がすすめるので、僕はそれらも買い付けて帰ることにした。新鮮な海の幸がいっぱいだ。
「シャズナにも何か食べさせようかな。」と、家に帰りつつ思う。
帰宅してシャズナに海老と貝を使った料理を作る。海老はぷりぷりとしていて、貝もいい塩加減で調理できた。シャズナは厨房から漂う美味しそうな匂いに興奮している様子で、足元にまとわりついてきた。
「はい、シャズナ、今日は海老と貝だよ。」と、シャズナに料理を出すと、嬉しそうに食べ始める。
「にゃー!」と、目を細めて、海老の甘さに満足している様子だ。その表情を見ると、こっちまで嬉しくなってしまう。
さて、烏賊はどうしようか。行商人からは「猫にはやらないように。」と注意されたことを思い出す。烏賊は猫にとって消化が難しいこともあるらしいので、今回は避けるべきだろう。
「シャズナ、烏賊は駄目らしいよ。」と伝えると、シャズナは耳をぴったりと折り曲げ、しょんぼりとした表情になる。まるで「どうして?」と言わんばかりだ。
「ごめんね、でも君のためなんだ。」と、優しく頭を撫でると、シャズナは少し元気を取り戻して、またしっぽをふりふりしながら僕の足元に寄ってくる。
「今日は海老と貝でいっぱい食べたから、もうちょっとだけ我慢してね。」と話しかけると、シャズナはにゃーと鳴いて満足そうに目を細めた。
烏賊の魅力には勝てなかったけれど、シャズナの満足そうな顔を見て、今回も美味しいものを食べさせてあげられたことにホッとするのだった。




