172 池と魚とシャズナ
今日は初めて、シャズナを池まで連れて行くことにした。朝の陽射しが優しく降り注ぎ、爽やかな風が木々の間を抜けていく。シャズナは行く道すがら、足取りも軽く尻尾をぴんと立てて、冒険に心を躍らせているようだった。
池に到着すると、その穏やかな水面がきらきらと光を反射し、まるで宝石のように輝いていた。シャズナは池の周りを歩き、興味津々に顔を近づけては、水中を泳ぐ魚をじっと見つめている。魚が水面近くに跳ねると、シャズナは一瞬驚いたように耳をぴくりと動かし、瞳を輝かせた。
「初めて見る魚に驚いているのか?」と心の中で微笑む。
少し興奮気味なシャズナだったが、池の縁に近づくたびに、慎重に足元を確かめているのがわかる。僕はその様子を見て、落ちないかと心配していたが、シャズナは自分の体のバランスをうまく保ちながら、池に落ちないように気をつけているのが微笑ましかった。
「お前、ちゃんと気をつけてるんだな。」と声をかけると、シャズナはちらりと僕の方を見て、満足げに「にゃー」と鳴いた。
その後も、シャズナは池の周りで静かに魚たちの動きを追いかけ、落ち着いた様子でじっと見守っていた。僕はその姿に安心し、少し離れたところからその様子を眺めていた。心が穏やかになる、そんな素敵なひとときだった。
「またここに来ような、シャズナ。」とつぶやきながら、池の景色とシャズナの背中をしっかりと目に焼き付けた。




