162 初夏の季節と行商人に前に行商人から買い付けた瓜きのこの栽培の事を教えた
初夏の陽気が農場を包み込み、空気が少しずつ暖かくなってきた。新緑が鮮やかに映え、農作物も順調に育ち、畑は活気に溢れている。シャズナと一緒に朝の農作業を終え、少し休憩をとっていると、遠くから聞こえてきたのは、あの懐かしい行商人の声だった。
「おいおい、元気か?」と声をかけられ、顔を上げると、道を歩いてくる行商人が見えた。久しぶりの顔だ。彼はまた新しい品をいくつか手に提げて、訪れてくれたらしい。
「こんにちは、行商人さん。久しぶりですね」と僕は笑顔で迎えた。
行商人はちょっとした手土産を持ちながら、近づいてくる。「元気そうだな。それに、農場も順調に見えるな」
「ありがとうございます。おかげさまで、順調です」と僕は答え、シャズナも行商人に駆け寄って、嬉しそうに挨拶する。
しばらく雑談をしてから、僕は前に買い付けた瓜きのこの栽培について話し始めた。「実は、あの瓜きのこ、順調に育ってきたんですよ。少し芽が出てきて、ようやく実を結ぶ兆しが見えてきました」
行商人は興味津々に耳を傾け、「ほんとか? それはすごいな。どうやって栽培したんだ?」と質問を投げかけた。
僕は嬉しそうに説明を始める。「まずは、あなたから買った瓜きのこの菌床を湿度と温度を一定に保つように管理して、それから数週間、日々観察しながら育てました。まさかこんなに早く芽が出るとは思わなかったんですが、どうやらこの場所と土が合っているのか、順調に成長しています」
「それは興味深いな」と行商人はにっこりと笑った。「何かコツがあったら教えてくれよ」
僕は少し考え、「実は、最初にちょっと失敗もあったんですよ。湿度を高くしすぎたせいで、菌がうまく育たなくて。でも、そこから調整して、今はちょうど良い感じです」と教えた。
「うーん、やっぱり手間がかかるんだな。でも、そんな努力が実を結んでいるってのは嬉しいな」と行商人は言いながら、僕の話に感心していた。
その後も、瓜きのこの栽培に関する話が続いた。行商人は自分も何か新しいものを試したいと思っているようで、いくつかのアイデアを持ち出しては、「それならどうだ?」と提案してきた。互いに意見を交わしながら、あっという間に時間が過ぎていった。
「また、次に来たときには瓜きのこの様子を見せてくれよ」と行商人は言い、僕に微笑んだ。「それじゃ、またな」
「はい、またお会いしましょう」と僕は手を振りながら見送った。
行商人が去った後、シャズナと僕は農場の隅に腰を下ろして、今日の収穫を少し眺めながら、また新しい発展に向けて動き出す準備を始めた。




