157 更なる研究と記録つけ
瓜きのこの栽培実験が失敗に終わってから数日が経った。だが、その失敗は僕に新たな知識と気づきをもたらした。早速、農場の片隅にある小さな研究室で次なるステップのための調査を始めた。資料や古い農書を引っ張り出し、瓜きのこの生育条件を細かく調べることにした。
「温度は15~20度の範囲が良い、湿度は70%以上が望ましい、森の土壌には特定の栄養素が含まれている…なるほど」
これまでの記録を振り返りながら、足りなかった要素に目を留めた。特に、行商人から聞いた「森の腐葉土が育成に重要」という情報を思い出し、その再現を試みることに決めた。
試行錯誤の末、山から採取した腐葉土を土に混ぜ込み、新たな培養床を準備した。シャズナは、興味津々でその様子を見守りながら、時折前足で土をちょいちょいと触っていた。
「シャズナ、君が手伝ってくれると心強いよ」と微笑んで声をかけると、彼は得意げに「にゃあ」と鳴いた。
実験記録には詳細をつけ加えた。
「新しい研究記録:
使用土壌:山の腐葉土と農場土の混合
温度設定:15~20度の環境維持
湿度:75%
日陰条件:森の環境を再現」
今回は気を引き締めて進めていくことを心に決めた。次こそは、成功の兆しを見せると信じて。研究が進む中、シャズナがそっと僕の横で座り、応援するようにその瞳を輝かせていた。




