153 行商人からうどんってやつを買い付けた
初夏の風が心地よく吹くある日、再び行商人が村にやってきた。賑わう広場の中を歩きながら、ふと目に留まったのは、見慣れない袋に入った白くて細長いものだった。行商人が売っているそれは「うどん」と呼ばれる食材で、遠方の都市では人気のある主食だという。
「これは『うどん』っていう食べ物でね、もちもちとした食感がたまらないんだ」と行商人が笑顔で説明してくれた。村では見かけることのない食材に僕は興味津々。どうやって食べるのか尋ねると、行商人は簡単な調理法を教えてくれた。「茹でて、温かい出汁や冷たいつゆで食べると美味しいんだ。特に暑い日には冷たいぶっかけうどんなんて最高さ」とのこと。
うどんを購入した帰り道、シャズナが僕の足元をすり抜けて一緒に歩いていた。興味津々の顔つきで袋を見上げている姿に、思わず笑みがこぼれる。「今日は初めてのうどんを試してみようか、シャズナ」と声をかけると、彼は軽く鳴いて答えた。
家に着くと早速、行商人の教えに従ってうどんを茹で始めた。鍋の中でぐつぐつと沸騰するお湯にうどんを入れ、しばらくすると独特の香りが立ち上がる。茹で上がったうどんを冷水で締め、冷やしうどんを作ることにした。つゆを作り、薬味には新鮮なネギとおろし生姜を添えて準備万端。
一口食べてみると、うどんのもちもちとした食感と爽やかなつゆの風味が口いっぱいに広がった。シャズナも興味津々で、少しだけ細く裂いたうどんを差し出すと、慎重に匂いを嗅いでからペロリと食べた。どうやら気に入ったらしい。
初夏の風が通る庭先で、シャズナと一緒に新しい味を楽しむひととき。行商人から買った「うどん」は、これからの暑い季節にぴったりのご馳走になることだろう。




