150 格闘していたエビをシャズナと食べる
エビの殻を無事に剥き終えた僕とシャズナは、いよいよ料理を始めることにした。キッチンはエビの香りでいっぱいになり、シャズナの小さな手がまだ少しエビに触れたがっている様子だった。僕がフライパンを熱し始めると、シャズナはじっと見守りながら、少しだけ興奮した顔をしている。
「今日は美味しくできそうだね」と僕が言うと、シャズナは嬉しそうに尻尾を揺らしながら、僕の足元をくるくる回っている。少しの間、二人でエビを炒めながら、キッチンに広がる香りに包まれた。
エビがパリッと炒められ、色が変わると、僕はフライパンから取り出してお皿に盛り付けた。シャズナも興味津々でその様子を見ていて、僕が皿をテーブルに置くと、彼はすぐに飛びつくようにして、その周りをぐるりと回り始めた。
「待ってて、シャズナ。まだお皿に取ってないよ」と言いながら、僕がエビを盛りつけると、シャズナは少しだけ大きな声で「にゃ!」と鳴きながら、嬉しそうにお皿の近くに身を寄せる。エビの香りにうっとりしている様子がなんとも可愛らしい。
ようやくお皿に並んだエビを二人で見つめ、シャズナがひとつ、ひとつと自分で食べ始める。その姿に、僕はつい微笑みがこぼれた。エビを食べるシャズナの顔は、どこか嬉しそうで、幸せそうで、そんな姿を見ているだけで、僕の胸も温かくなる。
「どう?美味しい?」と僕が尋ねると、シャズナは一瞬考えるようにして、舌をぺろりと出しながら、「にゃっ」と満足げに鳴いた。それは、まるで「これ以上ないくらい美味しい!」という風に伝わってきた。
僕もシャズナと同じようにエビを口に運ぶ。外はカリッと香ばしく、中はぷりっと柔らかくて、口の中で広がる甘みがたまらない。ふたりで食べるこのエビ、どんな料理でも一緒に食べるからこそ、より一層美味しく感じられるのだろう。
「シャズナ、今日は君が頑張ってくれたから、このエビがもっと美味しく感じるよ」と笑いながら言うと、シャズナは嬉しそうに僕を見上げ、またちょこんとエビを食べ続ける。まるで、二人だけの特別な時間のような気がして、心が穏やかになる。
その後も、エビを食べ終わるまで、二人で静かに、でも幸せそうに過ごしていた。シャズナの顔に満足そうな表情が浮かび、その笑顔を見ていると、僕もどんどん幸せな気持ちになっていった。




