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のほほん異世界暮らし  作者: みなと劉


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143/409

143 あの日から鶏肉だけを食べなくなったシャズナ

鳥が元気に空へと羽ばたいたあの日以来、シャズナには少し変わった行動が見られるようになった。食事の時間、僕が用意した食べ物を確認しながら食べる彼の習慣はそのままだが、特に鶏肉を出すと、シャズナは少し鼻をひくつかせた後、そっと顔を背けてしまうようになった。


「シャズナ、どうしたんだ?」と尋ねても、彼は僕を見上げるだけで、答えは返ってこない。ただその瞳には、どこか深い優しさと決意が宿っているように見えた。


初めてそれが起きたときはたまたまかと思ったが、数日続いても変わらなかった。鶏肉以外の魚や牛肉、野菜には喜んで食いつくが、鶏肉だけは頑なに口にしようとしなかった。まるで、あの日に助けた鳥への想いを尊重しているかのように見えた。


彼の行動が理解できた僕は、心の中で微笑んだ。シャズナにとって、あの鳥はただの一羽ではなく、大切な友達だったのだ。助け合った時間が彼の心に特別な絆を刻み、今もその優しさを彼の中に残している。


そんなシャズナを見て、僕は彼がいかに繊細で心優しい存在であるかを改めて感じた。シャズナの中にあるその優しさは、農場での生活に温かさをもたらし、僕にも新たな気づきを与えてくれた。


その日も、シャズナは僕の隣で静かに丸まって、穏やかな風を感じながら目を細めていた。鶏肉を避ける彼の姿は、ちょっとした驚きであり、同時に小さな感動の物語だった。



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