142 鳥が羽ばたく日とシャズナとの友情
朝陽がまだ柔らかい光を放つ時間帯、僕は静かにシャズナと鳥の様子を見守っていた。箱の中で羽を休めていた鳥は、もう完全に元気を取り戻しているようだった。その目にはかすかな光が宿り、今にも飛び立ちたいという強い意志が感じられた。
シャズナはその鳥に優しいまなざしを向け、そっと鼻先を近づけて軽く鳴いた。まるで「大丈夫だよ、君ならできるよ」と応援しているかのようだった。鳥も小さく鳴き返し、その姿は心を通わせた友達同士のようだった。
ついに、鳥はゆっくりと翼を広げ、しっかりと地面を踏みしめた。そして、羽ばたきを試すように軽く跳び、風を感じる。シャズナはその動きに興奮して、尻尾をふりながら一歩下がって見守っていた。
「頑張れ」と心の中で願いながら見守る僕の視線の先で、鳥は高らかに一声鳴いて勢いよく羽ばたき、空高く舞い上がった。瞬間、シャズナは驚きと喜びで目を輝かせ、小さな声で「にゃあ」と鳴いた。空を舞う鳥が一瞬振り返り、シャズナに別れを告げるように翼を振ったように見えた。
その姿を見上げるシャズナの横顔は少し寂しげだったが、どこか満足そうでもあった。友達として見守り、支えてきた日々を思い返しているかのように、シャズナは静かに座って空を見つめていた。
僕はそっとシャズナの頭を撫で、「よく頑張ったね」と声をかけた。シャズナは僕の手に顔を寄せ、優しい瞳で応えてくれた。その日、鳥は自由な空へと羽ばたいていったが、シャズナとの友情の記憶はこれからも二人の心に生き続けることだろう。




