140 怪我をした鳥とシャズナの優しさ
ある日の朝、農場へ向かう途中、僕は庭先で弱々しい羽ばたき音を耳にした。音のする方へ目をやると、小さな鳥が草むらの中で羽を痛めてうずくまっていた。体は青みがかった美しい羽毛で覆われており、その中に一筋の赤い傷跡が見えた。どうやら巣から落ちてしまったのか、木の枝にぶつかったのだろう。
僕はそっと鳥を抱き上げ、自宅に連れ帰った。シャズナは、僕の腕の中にある小さな命を見て、最初は不思議そうな顔をした。しかし、僕が「この子、少し休ませてあげようね」と言うと、シャズナは興味深そうに鼻を近づけて、鳥をじっと見つめた。鳥は怯えることなく、ただそのまま静かに目を閉じた。
鳥のために柔らかい布を敷いた小さな箱を用意し、優しくその中に鳥を寝かせると、シャズナはその箱のそばで座り込み、まるで守るかのように見守り続けた。しばらくして、鳥が羽を少し動かすと、シャズナは心配そうに鼻先を近づけ、「にゃあ」と優しい声をかけた。その仕草がまるで、「大丈夫だよ」と励ましているようで、僕はその優しさに胸が温かくなった。
鳥の回復には数日かかりそうだったが、シャズナは毎日その箱のそばを離れず、見守り続けた。昼間の暖かい日差しの中で、鳥が小さく鳴いた時、シャズナは嬉しそうに尻尾を揺らしながら応えた。彼のそんな姿を見て、僕は心から感謝の気持ちを感じた。
シャズナの優しさが、この小さな命にどれだけの安心を与えているかと思うと、僕自身も自然と笑顔になった。きっとこの鳥が元気になって飛び立つ日も、シャズナは嬉しそうに見送るだろう。




