129 シャズナと一緒に農作物の様子を見に行く
朝の光が柔らかく畑を照らし始め、今日もまたシャズナと一緒に農作業を見に行く時間がやってきた。シャズナは僕の足元にぴったりとくっついて歩くのが習慣になっている。小さな体で、ふわふわした毛を揺らしながら歩くその姿は、まるで風のように軽やかだ。
「さて、今日はどんな具合かな？」
僕が話しかけると、シャズナは何も答えずに前に進んでいく。歩きながらも、どこか遠くのものに目を向けるその目は、いつも好奇心に満ちている。あまりにも自分勝手で自由なようで、実はとても真剣に農作物の様子をチェックしているのだ。
畑に到着すると、まずは一番手前の畝から見ていくことにした。ここには春の初めに植えたサンシャインベリーと、少し遅れて種まきしたアイスプラントが並んでいる。
サンシャインベリーの苗は順調に育っているようで、まだ小さな実がいくつかついていた。葉は元気そうで、鮮やかな緑色をしている。アイスプラントも順調に成長し、少しずつその特徴的な葉の形を見せ始めていた。
「うん、いい感じだね。」
僕は軽くつぶやきながら、畝の端にしゃがみこんでサンシャインベリーを手で触ってみる。葉に手をあてると、心地よいぬくもりとともに、これから育つ実の期待感が湧いてくる。シャズナも近くでその様子をじっと見ている。
「シャズナ、今日もいい仕事をしてくれたね。」
僕は猫に話しかけると、シャズナは何気なく僕の隣に座り込み、穏やかな目で畑を見つめていた。その様子がなんとも愛おしく感じられた。
次に、畑の奥に植えた月影の草を見に行く。ここはちょっとした実験的な場所で、うまく育つかどうかが楽しみな部分だ。月影の草の葉はまだ小さく、伸びる力を感じるには少し時間がかかりそうだったが、根元からしっかりとした新しい葉が伸び始めていた。
「少しだけど、しっかり根付いてきてるみたいだね。」
シャズナはその草の周りを軽く歩き回り、やがて何もない場所で丸くなって寝転がってしまった。猫には、日向ぼっこが何よりも大切なようだ。
「ま、こうして見守ることも大事だよね。」
僕はシャズナに笑いかけ、少しだけ畑を見渡す。その中で育っていく植物たちの姿が、まるで時間の流れを感じさせるようだった。
午前の風が心地よく、シャズナと一緒に過ごす時間がますます貴重に感じられる。今日はきっと、素晴らしい収穫の季節を迎える準備ができたのだろう。
