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のほほん異世界暮らし  作者: みなと劉


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118/409

118 今年も良い年でありますように

冬の冷たい空気が澄み渡り、朝焼けが村全体を柔らかな光で包む。息を吐くと白く曇り、頬に触れる風はひんやりとしている。村の人々は、今日という日を特別に感じているようだ。なぜなら、年が明けて初めての朝。新年を迎え、新たな日々への期待と希望が胸を満たす日だからだ。


僕も例外ではなく、この日を特別な思いで迎えていた。暖かいコートを羽織り、村の中央広場へと足を運ぶと、すでに集まった人々が互いに笑顔を交わしていた。挨拶の声が飛び交い、子どもたちは元気よく駆け回っている。年の初めを共に祝い、新しい希望を語り合うその光景は、何度見ても心が温かくなるものだ。


「明けましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします!」と村の長老が力強い声で挨拶を始める。彼の声は広場全体に響き渡り、みんなが一斉に拍手をした。今年も良い年でありますようにと願うその気持ちは、村中に広がっていく。


僕は広場の隅に立ち、しばらくその光景を見守っていた。年を重ねるごとに、この村での生活が深く馴染んできたことを感じる。初めて花咲村に来たときは何もかもが新しく、手探りでの日々だった。それが今では、季節の移り変わりや行事を共に感じられる人々と絆を育み、ここを「家」と呼べるようになった。


広場の片隅で、小さな焚き火が焚かれ、その炎が静かに揺れていた。温かさに惹かれ、僕はその火の前に腰を下ろした。火の音がパチパチと心地よいリズムを奏で、まるで村全体がその音に合わせて穏やかに呼吸しているかのようだ。


「今年も良い年でありますように」と心の中で静かに呟く。この願いは、自分自身だけでなく、村のみんな、行商人たち、そして村に訪れる旅人たちにも向けたものだ。この村は、ひとりでは成り立たない。互いに支え合い、共に歩んでいくからこそ、美しい日々が続くのだと改めて思った。


僕は立ち上がり、そばにいた隣人に声をかける。「今年もお互い頑張りましょうね。」その言葉に隣人は笑顔でうなずき、温かな目で僕を見つめてくれた。


その日の午後、村人たちはそれぞれの家へと戻り、家族とともに新年の宴を楽しむ。僕も自宅に戻り、暖炉の前でささやかながらも心のこもった料理を楽しむことにした。香ばしいパンとスープ、そして年の瀬に行商人から購入した香辛料を使った一品が食卓を彩る。


暖かい食事を終えた後、僕は外に出て空を見上げた。夜空は澄み切っていて、無数の星が瞬いていた。今年一年、この星空のように輝かしいものでありますように。静かな夜風に耳を傾けながら、僕はそう願い続けた。


焚き火の明かりが優しく消えていく中で、村は再び静寂に包まれる。だけど、その静けさの中に確かな温もりがあった。それは、人と人との絆、そして新しい年への希望が作り出す、見えないけれど確かに感じるものだった。



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