115 冬支度のために薪を集める
冬の訪れは確実に近づいていた。寒さが増し、朝の霜が草原を白く染める日が多くなってきたのだ。冬を越すためには、しっかりとした備えが必要だった。僕は重いコートを身にまとい、薪を集めるために森へと向かうことにした。
村の周囲には豊かな森林が広がっており、薪を集めるには絶好の場所だ。森の入り口では、冷たい風が木々を揺らし、葉の擦れ合う音がひときわ響いている。空気はひんやりとしていて、冬の香りが漂っていた。
「このあたりなら、いい薪が見つかりそうだな」そう思いながら、木の枝や倒木を丁寧に拾い集める。乾燥して燃えやすそうなものを選びつつ、背負い籠に詰めていった。中には薪だけでなく、秋に落ちた松ぼっくりや小さな枝も見つけたので、それも一緒に持ち帰ることにした。松ぼっくりは火を起こす際に役立つのだ。
作業に夢中になっていると、森の奥から小さな足音が聞こえてきた。振り返ると、近所の子供たちが遊びに来ていた。「薪集めですか?」と一人の少年が聞いてきたので、僕は笑顔でうなずいた。
「そうだよ。これからもっと寒くなるから、暖かい夜を過ごすためには必要なんだ。君たちも風邪をひかないように気をつけるんだぞ」と声をかけると、子供たちは楽しそうに笑いながら森を駆け回った。
日が沈む頃、僕は薪をいっぱいに詰めた籠を背負い、重さを感じつつも満足な気持ちで村へと戻った。これで冬の寒さに備える準備が一つ整った。家に戻ると早速、焚き火の前に薪を積み上げ、その安堵感と共に深く息を吸い込んだ。
「これで、いつ雪が降っても大丈夫だな」と心の中で呟き、冬の夜に向けての支度を終えた達成感を味わった。




