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のほほん異世界暮らし  作者: みなと劉


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113/409

113 スパイスティーを購入した

行商人の前に立ち、色とりどりの品々を見つめながら、僕の視線は自然と一つの小さな袋に留まった。袋の中には、寒い冬にぴったりのスパイスティーが詰まっていた。シナモン、クローブ、ジンジャー、カルダモンなどの香りが混ざり合い、袋越しでもその豊かな香りが鼻をくすぐった。


「これが気になるかい?」と行商人は笑いながら僕に尋ねた。彼の声には冬を迎える喜びが含まれていた。


「そうだね、冬の冷え込みに備えるためにちょうどいいかもしれない」と僕は答えた。行商人は頷いて、スパイスティーの効能を話し始めた。「これには体を温める成分が多く含まれていて、寒い夜に飲むと特に心地よくなる。砂糖や蜂蜜を加えると、さらに美味しく仕上がるんだ」


その説明を聞きながら、僕はそのスパイスティーを購入することに決めた。袋を手に取ると、行商人は微笑みながら「きっと気に入ってもらえるよ」と言って商品を手渡してくれた。


家に戻り、早速スパイスティーを淹れる準備を始めた。湯気が立ち上るポットからは、ほんのりと甘い香りが広がり、部屋中に暖かさが満ちていった。カップに注いで一口飲むと、体の芯からぽかぽかと温かくなるのを感じた。シナモンの甘い風味が広がり、ジンジャーが程よい刺激を加える。


「これなら冬の寒さも乗り切れそうだな」と僕は独りごちた。外は冷たい風が吹き荒れているが、この温かなスパイスティーを飲むと、冬の厳しさも心地よいひとときに変わる気がした。


冬の夜、焚き火の前でカップを手に持ちながら、僕は窓の外に広がる静かな雪景色を眺めた。雪の白さとこの温かい飲み物の対比が、心に落ち着きをもたらしてくれた。



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