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のほほん異世界暮らし  作者: みなと劉


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107 夏祭りと浴衣を作る

夏の訪れと共に、花咲村では毎年恒例の夏祭りの準備が始まった。村の広場には、屋台の準備が進み、楽しげな雰囲気が漂う。祭りの前日、村の人々が集まり、灯篭を飾ったり、舞台の設営をしたりと賑やかに動き回っている。その中で僕は、浴衣を作るという新しい挑戦をしていた。


「今年の祭りは、浴衣を着て参加しよう。」と決心したものの、買うわけではなく、自分で作ってみることにしたのだ。村の古い裁縫道具を引っ張り出し、材料となる生地を集めて、僕の手作り浴衣ができるかどうか、ちょっとした冒険だった。


まず、青い色の涼しげな麻の生地を選び、寸法を測りながら、丁寧に布を切り始めた。あらかじめ作り方を調べていたので、工程は順調に進んでいった。裁縫は初めてだったが、心を落ち着けてひと針ひと針を大切に進めていく。僕の手が布を縫っていく感覚は、少しずつ面白くなってきた。


夕暮れ時、ふと窓の外を見ると、村の灯篭が灯り、祭りの準備が一段と盛り上がってきているのが見えた。僕の浴衣はまだ完成には程遠かったが、その光景を見て、だんだんと祭りに対する期待感が膨らんできた。


次の日、浴衣の完成間近。帯や袖のデザインに少し悩みながらも、最終的にシンプルでありながらも、少し華やかな仕上がりにした。帯は、祭りの雰囲気に合わせて赤と金の模様を選び、細かな部分まで丁寧に仕上げた。


そして、ついに祭りの日がやってきた。自分で作った浴衣を身に着けてみると、予想以上に心地よく、風に揺れると涼しげな感じがした。村の人々も次々と浴衣を着て、広場に集まってきている。


「やっぱり、自分で作ってよかった。」と思いながら、僕は祭りの開始を待った。


夜の祭りは、花火が上がり、太鼓の音が響き渡り、村の人々の笑い声が空に溶け込んでいった。浴衣を着ていると、心なしか、村の一員としての誇りと、夏の一大イベントに参加している喜びがこみ上げてきた。


最後に花火が打ち上げられ、空に色とりどりの花が咲いた時、僕は思わず深呼吸をした。その瞬間、浴衣を作ったこと、村の人々とのつながり、そしてこうして祭りを楽しむことができる幸せをしみじみと感じた。


「来年も、また浴衣を作って、祭りに参加しよう。」心の中で、またひとつの楽しみが生まれた夜だった。



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