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第六話【白雪姫との食卓】

「…………」

 次の日の朝、キッチンに立つ白雪姫を、俺はただ見つめていた。

(本当に作ってる…………)

「…………何か?」

「いや、なんでも…………」

「そうですか」

(素っ気ないな。流石天使……毒舌クール…………)

 自分が置かれている状況が幻想でないことを祈っている自分がいる。

そんなことを考えながら待っていると、

「出来ましたよ」

「あ、ああ」

 米、みそ汁、目玉焼き、お茶。普通に見る朝食。

「いただきます」

「い、いただきます…………」

 一口食べてみると、本当に美味かった。

(俺が作る飯より断然美味い‥‥何でもありかよこいつ‥‥)

「………音花さん、今日は学校に行かれるのですか?」

「ん、ああ‥‥だいぶ良くなったからな。それに試合もあるし」

「確か音花さんはサッカー部のレギュラーでしたね」

「…………よく知ってるな」

「グラウンドで練習しているところを拝見したことがあります」

「なるほどな‥‥」

「………おいしいですか?」

「ああ、美味しい。‥‥それに、誰かと食べることなんてなかったからな」

「…………誰かと食べれば、更においしくなる‥‥ですね」

「うん。‥‥‥‥白雪は、一人暮らしなのか?」

「ええ、私一人です」

「そうか‥‥」

「それが何か?」

「いや、大したことじゃないんだ。ただ家事スキルが高いから、慣れてるんだろうなと」

「…………両親は、私に興味がありませんから」

「‥‥?」

 これからあまり親の話題は話さないようにしようと決めた。

 その方が、きっといいから。

「…………学校では、あまり話しかけないで下さいね」

「‥‥分かってるさ。互いに面倒事は御免だからな」

「…………」

「なんだよ」

「いえ、物分かりが良いと思いまして」

「あっ、地味に傷つく」

「…………ふふっ‥‥」

(‥‥笑った?)

 そういえば、白雪が笑っているところを見たのは初めてかも‥‥。

いつも笑顔のように見えても、俺には‥‥社交辞令というか、仮面に見えてしまう。

 家庭の事情というやつで、そういうのには敏感なのだ。

「…………フッ」

 俺はつい笑ってしまった。

「…………何を笑っているのですか?」

「‥‥いや、白雪姫も普通に笑うんだなって」

「…………私だって人間なんですから笑います。‥‥あと、その名前はやめてください」

「お、おう‥‥?」

「‥‥苦手なんです、白雪姫というのが。‥‥まるで私が王子様を待っているようじゃないですか」

「…………? 分かったよ、もう言わない」

「…………ありがとうございます」

「…………お前も苦労してんだな」

「‥‥‥‥ええ、まあ‥‥」

「さて、そろそろ時間だぞ。‥‥ご馳走様でした」

「…………ご馳走様でした」

 俺達は違う時間で出ていく。俺は部活があるので遅いが、まあそれまで勉強しているとのことだ。‥‥‥‥学校で会わない気満々だな。


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