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プロローグ
奥深い森の中で眠っている、黒髪の少女。
鳥達のさえずりが聞こえてきて、漆黒の目を開ける。
「……どうして私、森で寝ているんだろう?」
肩まで伸びた髪を揺らしながら体を起こすと、少女の指が何かに触れた。
視線を移すとそこに落ちていたのは、見た事のある黒い手帳。
その手帳を見ながら、ある人に言われた言葉を思い出す。
「そうだ。魔塔に行くんだった」
ぼんやりとした頭でやるべきことを思い出した少女は、黒い手帳を手に山を下りたのだった。
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