知略―2
会議を終え、リヒャルトとフェリクスは自室へ戻り、顔を見合わせた。二人は相部屋だった。
「どう思う」フェリクスが靴を脱ぎ、ベッドへ横たわる。
「あの条件のことですか?」
首の後ろで手を組み、寝転がりながらフェリクスが頷く。
「現実的とは思えません。確かに、ゴレイヤ公国の攻撃を防ぐことは可能かと思います。ですが攻め入るのは……」
フェリクスは虚空を見つめながら、「移送の目的から大きく外れる」
「そうです。それに我々やオイレンブルクの兵がゴレイヤ公国への侵攻を高い士気で行うと思っているのなら素人が過ぎます。戦いを投げ出さないまでも、他の領主のために命を投げ出すのは誰もやりたがらない」
「傭兵よりはマシ程度の認識でないとまずいわなぁ」フェリクスが目を細め、笑う。
「だが、女帝も馬鹿じゃない」フェリクスが横目でリヒャルトを見る。 「必ず目的がある」
「御三家の兵が終結することによる威圧効果を期待しているのでは。それが目的だとしても、ソフィアの口からそれを言えば、我々が手を抜くと考えているのかも」
「それもあり得る。だが、本当の所は分からん。それに盗賊団とのつながりもある」
移送途中、捕えた盗賊が命欲しさに、ある情報を差し出してきたのだ。
盗賊団を使い、アイメルト家が何かをしようとしている、と盗賊団の長は言った。フェリクスはそのことを言っているのだ。
「待機時間が増えるのは《代行者》の正体を暴くのに、丁度良い……だが、この足止めさえも《代行者》の手によるものだとしたら」
「《代行者》はアイメルトだと思いますか?」
「分からん。だからこそ、調査を進めろ」
リヒャルトは頷く。




