推しカップルのためにリーダー権限で二人をパーティから追放……したかったはずが
「ミラ・マーグル、そしてツカ・オレン、お前らは今日限りでパーティから抜けてもらう。」
そう俺は宣言した。
おれはアレン。冒険者をやっていて、パーティを組んでいる。
パーティメンバーは
前衛で敵を倒していく俺、アレン
タンクとして前衛を張ってくれているツカ
魔法使いとして時には攻撃、時にはサポートしてくれているミラ
そして僧侶として味方のサポート兼回復役のフワル
の4人である。
なぜパーティからミラとツカを追放したか。
それを語るには俺の前世の記憶を語る必要がある。
そう、俺には前世の記憶がある。
前世は日本という国で過ごしていた。
けれど、ちょっとした不慮の事故で死んでしまい転生したわけだが、そんなことはどうでもいい。
問題は、この世界が前世で読んでいたラノベ『最強の俺の冒険者ハーレム』の世界にとっても似ていることだ。
そのラノベでは主人公である俺が冒険者として俺TUEEEしながらハーレムを築くという小説だった。
このパーティメンバーの僧侶フワルと魔法使いミラはそのハーレムの一員で、ツカは親友ということになっている。
というかよくツカはハーレム主人公に何も思わず親友としていられたな……
まぁご都合主義というやつかな。
そんなわけなんだが、どうして俺は二人をパーティーから追放することにしたのか。
それは俺がひとえにミラとツカのカップリングを推しているからである。
俺が見た二次創作のミラ×ツカは、マジで尊かったのだ。
ハーレム主人公の主人公補正か、はたまた見た目がいいのかわからないが、俺は小さいころから人に好かれやすかった。そのせいか最近魔法使いのミラからもよく話しかけられるようになってきていた。
二人の時間を作るようあえて買い出しも二人で行かしてるし、ミラからはあまり好かれないようにそっけなさげにしているが、日に日に好意が増している気がするし、ミラとツカの仲は進んでなさそうだし……
いっそのこと俺が追放して二人きりにしてやったほうが進むのではという算段なわけだ。
だが、思わぬところから声が上がった。
「異議あり!」
そう叫んだのは僧侶のフワルであった。
「どうして二人を追放するんですか?」
「それに関してはいくつかある。
まずはミラ、お前だがちょっと俺にしなさすぎだ。好意を持ってもらうのはありがたいことだが、俺がお前を好きになることはないし、そのことでパーティに不和が生まれるのも面倒だからな。
そしてツカ。お前はミラの強化魔法があるからこそ今のタンクとしての強さが発揮できるんだ。だからこそ、ミラとお前は一緒のチームであるべきだ。だからこの二人を追放する。」
あらかじめ考えておいたおかげで出すらすらと出てくる答えを言う。
魔法使いはマジかみたいなショックを受けた顔で固まった。
タンクのツカは、困った顔で、口を開こうとしたが、それよりも先に僧侶が言った。
「なんだ、そんなことなんですか。別にパーティに実害出てないじゃないですか。それに、今から別のタンクと後衛探すなんてそれこそ大変ですよ。これ以上ないパーティなんですから、そんな寝ぼけたこと言わないでください。それともそんな非合理的な判断する人でしたか?それにアレンもアレンでお前を好きになることなんてないなんて、自分を好いてくれている女の子に言うとか信じられないですよ。紳士失格です。少しは自分から歩み寄ろうという意思がないからそんなことが言えるんですよ」
「い、いやでも「でももスモモもありません。この話は終了!これ以降こんな話はしないでください!」」
「は、はい」
つい、僧侶の剣幕におされ、了承してしまう。
そんなこんなでパーティ追放はなしになってしまった。
それからしばらくして、ツカから僧侶のことが好きだと相談されたアレンは頭を悩ますのであった。
続きは考えてないです。