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翔太編〜4話 ー目覚め?ー

 結局間に合わなかった。

しかし、運のいいことに、遅刻扱いにはならなかった。これまで無遅刻無欠席だったこともあって、先生は人助けをしていたからという嘘を信じてくれたのだ。まあ、そんなこんなあって"僕は"助かった。響は許されなかったみたいだが。

 そして10分ぐらい経った頃だろうか、職員室から響が出てきた。どことなく不満そうな感じがする。


「響、オマエだけ遅刻扱いって理不尽だよな?」

多分不満なのはそこじゃないんだろうが…


「わかってるくせに、遅刻扱いは気にしてないよ。僕が遅刻するのは今に始まったことじゃないし」

「不満なのは、こっちは話があったのに、翔太も待ってるだろうから、さっさと授業うけてこいって、逃げられたこと」


 まぁ、そんな感じはしてた。

 響の話術?は並外れている。というより相手の気持ちを読み取ることができる。本人曰く雰囲気から読み取ってるらしい。

 だから相手の感情の変化から、弱みを探って優位に立つのが上手い。

 本人は色々言ってくる相手を言いくるめるのが楽しいらしい。相手からしたらたまったもんじゃないだろうが。


「それは残念だな。ホームルームは終わってるからこのまま1時間目を受けに行こうぜ」


「絶対残念だと思ってないよね?まぁ、いいや」

「1時間目は…英語だっけ?」


「そうだよ、僕が嫌ってる英語だよ」

「しかも2連続でね」


 今日は1時間で先生のありがたい授業を聞き、2時間目でプリントに取り組むという、2段構えで面倒な日だった。


「勉強方法変えてみたら?点数上がるかもよ?」


「それで上がったら苦労しないんだが?逆に聞きたいんだけど、響的にアドバイスくれよ」

 響のアドバイスは期待していなかったが、一応聞いてみる。


「うーん、アドバイスか、いっそのこと板書をやめるとか?」

 

「それ響と一緒なんだが」


「でも僕の方が成績いいよ?」


「ただ響が天才なだけ」

 響はいわゆる天才ってやつだ。板書せず、教科書を見ながら先生の話を聞いてるだけ、なんなら、教科書すら机に出していないこともある。なのにテストで高得点を叩き出してくる。成績はもちろん生態も、考えてることも別次元。天才だからなのだろう、僕からするとわからない。そんなやつなのだ。

 それに対して僕は成績は悪く、来年に迫っている大学受験に、希望を感じることができないぐらいだった。


「そんなことないけどなぁ」


「…ばかにしてる?」


「そんなことないけどなぁ」


「あっそ」

 怒ってるわけではないが、友達対しての慣れからか、なんとなく口調が冷たくなってしまう


「怒ってるふり?それとも…いや、ツンデレ?」


「なんか、勘違いしてない?」

 わかってて、からかっているだけだろうが、やはり感情読める相手と会話するのは疲れる。


 響とそんな他愛無い会話をしているうちに教室につき、授業が始まった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 授業が始まってすぐ、カバンに自分のノートがないことに気づく。家に置いてきたのだろう。誰かにノートがわりに紙のようなものをもらうしかない。

 僕には友達が少ない。だからこそ、そんなことを気軽に頼めるヤツは響しかいない。隣に座っている響に頼んだ。


「ノートを忘れたので紙をください」

 この時僕は内心焦っていた。コイツは何いうかわからない、だから気分で断りそうだと。そして、響の目が細く、口は少し笑みを浮かべた気がした。嫌な予感がする。


「嫌だ。それに、アドバイスしたろ?板書しない方が点数上がるって、それでも紙が欲しいならトイレにいくらでもあるぞ」


 急に口調がかわった。絶対わかっていってる。焦ってるのが伝わったのだろう。今回は教科書で我慢するしかなさそうだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 なんとなくだった。今日の授業は違った。なんか面白く感じた。板書してないからだろうか相手の話が入ってくる。響の言うことは本当だったのだろうか?

 その瞬間から授業が終わるまでがあっという間に感じた。


「アドバイス通りだろ?」


 授業が終わるとすぐに響が自慢げ?に言った。


「板書っていうのは本当の天才がすることなんだよ」

「少なくとも僕はそう思ってる。ほとんどの人は聞きながら板書をして、それらを理解した上で板書に補足を入れていくなんて無理なんだよ。だから板書より聞く、理解することに集中する。それが1番」

「それにしても、板書をしないだけで勉強にのめり込むのは予想外だったけど」


 翔太の腕は2時間目にやるはずのプリントに取り組んでいた。


「それは、自分が1番驚いてるけどね。アドバイスありがとう。おかげで英語が克服できたよ」

「それに響の思考がようやく理解できた気がする」

 

 初めてだと思う。あのよくわからん響の思考が理解できるなんて。


 この後誰よりも早くプリントを終わらせ、自主的に追加のプリントをもらいにいく僕の姿は、自分を含めほとんどの人を困惑させた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


窓から夕陽がさしていた。放課後だった。あの後、ずっと勉強していた。まぁ、強いていうなら昼ごはん中はしていなかったが。そのせいだろうか、頭がぼぉーっとする。

 そのまま外を見て黄昏ていると、響が話しかけにきた。


「疲れてるみたいだし、早く帰ろう?」


「部活あるんじゃないの?」

 この時間帯、響は、帰宅部の僕と違って部活に行くはずだった。


「気分的に帰りたいなって、一応連絡したし、今日はどうせ行かなくても支障がないから」


 嘘だ。なんとなくそう思った。それが伝わったらしい。


「だって、君様子がおかしかったから心配なんだよ」

 今日は確かに自分でもおかしいと感じた。言うなれば何かに目覚めた?そんな感じで勉強をしていた。響の言葉がそのことを改めて自覚させる。でも、その言葉が嬉しかった.

 響なりの良心からくるものだった。だからこそ、部活を休ませたことが申し訳なかった。しかし、響の誘いを断るのは友達の良心に背くような感じがして、返答に戸惑う。

 それを見かねたのか、響の手が僕の手を引いて教室から出ようとする。慌てて鞄を掴むと、そのまま響の手に引かれるままに学校を後にした。

 ここまで読んでくれてありがとうございます。

 内容がなんか迷走してる気がするけど、ここまで読んでくれてありがとう?感謝。

 ーこの拙い物語が誰かの良い暇つぶしになることを願ってー

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