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「……はっ!」


 俺は急に目覚める。

 気がつけば、原っぱの中心で仰向けで寝転んでいた。

 なんだ、何がなんなんだ、意味が分からない……いや、待てよ。


「えっと、俺は確か天国なる場所に呼び出されたんだったよな。そこで魔王を倒すとかいう話になったのは覚えてるぞ」


 つい先程の記憶だったので、意外と思い出せた。


「そしたら俺が戸惑ってるうちに急に転生させたんだったか。くっそ、あのじじい! 適当な対応しやがって!」


 最後の方に至ってはもう俺が死んでもどうでもいいみたいな口調だったのを覚えている。

 そんな無責任なことあるかよ。

 俺の命を一体何だと思ってるんだ。


「魔王討伐って言ってたか、てことはここは話にも出てた異世界ってことだよな? おい、どうすんだよ魔物とか魔法とかがうじゃうじゃ飛び交う世界だろ? それになんの情報も聞かされてないし、一体どうやって生きてきゃいいんだ」


 俺は軽く絶望していた。

 未開の地に適当に放り出されて、右も左も分からない。

 まだサバンナとかに放り出された方が地球なだけマシだ。

 異世界ってなんなんだよ、マジで不安しかないわ。


「くそっ、じじいめ俺をこんな目に合わせやがって……! 死んだとしても恨んでやるぞ。魂は残るらしいから、悪霊とかにでもなって一生たたってやる」


 俺はじじいにただならぬ殺意が湧いていた。

 いや、冷静に考えれば元々死んでいた俺を新たに転生させてくれただけマシなのかもしれない。だがそんな正論なぞ受け付けない。適当な対応をされたのは事実だし、それ自体にムカついているのだ。それにこの後死ぬことになれば結果的に転生してないのと一緒だ。いや、むしろ辛い思いをすることになる分マイナスというものだろう。


「はぁ、ホントどうやって生き残ればいんだ……」


 俺は何の変哲もない一般男子。

 サバイバル術なんて会得してるわけもないし、戦闘力だって限りなくゼロに等しい。女子にすら勝てるかどうかはっきりしないレベルだ。


「なんか神の力を授けたとか言ってたけど、何の変化も感じないし」


 おかしいと思ったんだよ、普通何も感じないとかあるわけないだろ?

 力を授けるという行為自体嘘だったんじゃないかと今になっては思ってしまう。


「神の力って言葉自体意味分からないしな。何ができるんだって話だ」


 まぁあえて予想するなら神の力なんだから何だってできるんだろうな。

 例えばこうやってピュッと手をふっただけであの遠くにある山脈を根こそぎ消し飛ばすくらいはいとも容易に……


 そう思い、言葉に合わせなんとなくピュッと手を振った瞬間だった。


 遠くにある山脈の中央に、どでかい穴があいた。


「……え」


 最初は何かの錯覚かと思った。

 遠く過ぎてぼやけてしまったんじゃないかと。

 でも俺の目は確かに山に穴が空く瞬間を捉えていて、山脈の上の部分がその穴を埋めるように陥没する様子もくっきりと見て取れた。


「あ……え」


 開いた口が塞がらないとはこのことかと自分で思った。

 ……い、いや、まさか、な。

 そう、たまたま、きっとたまたまだ。

 軽く手を振っただけ、それだけで山の斜面にどでかい穴が開くなんてありえるわけないじゃないか。

 だってあの山脈標高何メートルあると思ってるんだ? おそらく千は超えているだろう。それにあの穴となると、えぐれた分の総容量はとんでもない量になるはず。そんな技人ができる領域を遥かに超えている。


「…………」


 だが、だがまぁ一応もう一度試してみようか。


 俺は何気なく手を再び山脈の方にかざした。

 さっきは適当に振っただけだった。じゃあ今度はこうしてみたら?


 俺は具体的なイメージを持って指を振った。

 すると横に長い山脈が、次から次へと赤黄色い大爆発を起こしていく。

 音は何も聞こえてこないが、おそらく周囲では相当の大音量が鳴り響いていることだろう。

 俺は核兵器を連想した。

 ものすごい量の煙が山があった場所の上に立ち上っている。

 災害そのものだった。


 さらに煙を纏めるように命じると、その場で煙がゆっくりと球体になった。

 渦巻いて、宇宙上の惑星を彷彿とさせる。

 その煙が綺麗な花火になるように命じる。


 七色の満開の大爆発が起こり、昼間であろうとまぁまぁ鮮やかに目に映った。



「は、はは、はははは」


 俺は乾いた笑いが出た。


「はは、あハハはハハハハハハッ!! やばい、やばすぎるだろこれッ! なんだよこれ、神か、これが神の力か? こんなのとっくに人間やめてるだろ、ヤバすぎ!」


 俺は思わず興奮してしまった。

 これがそうならずにいられるだろうか。

 それは自分の力に酔っているという笑いではなく、あまりの馬鹿馬鹿しさに対してのものだった。

 普通に考えて人間がこんな力持っていいわけがない。

 それこそ人類を絶滅、いや、世界を滅ぼすことすら可能なレベルの力だ。

 魔王がどうとか言っていたが、ほぼ確実にその比ではないだろう。

 おおよそ個人が持つにはあまりに過大で、ありえないほどの力だった。


「ははは……はぁ、はぁ、しんどい。なるほど、まさか本当に神の力を使えるようになっていたとは……正直予想外だったな」


 てっきり何も得られないまま転生したものとばかり思っていたので、予想外の収穫に驚かざるをえない。


「でも良かった。この力があれば異世界も苦労しないよな。いやそれどころか大体の願いは叶ってしまうんじゃないか? いっそのこと魔王も倒してしまうか?」


 俺は考える。

 この先どうするべきか。


「……いや、そんなことしたって面白くない、あのじじいの言いなりになるのは癪だしな。せっかくの異世界なんだ、こうなったらもう思いっきり暴れてやろうじゃないか。俺の好きなように、自由に生きてやるぜ!」


 元々ただで転生したみたいなものなのだ。

 異世界転生……いいぜ、やってやる。俺なりにこの世界を自由に満喫してやる。周りがどうなろうが知ったことじゃない、大暴れしてやるぜ。


 それが俺のーー異世界転生だ!

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