表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2


「よく来たな」


「あれ、ここは」


 俺は戸惑っていた。

 気がつけば見覚えのない場所にいて、知らない人が話しかけてきたからだ。


 俺が立っている場所は白く太い雲の上で、話しかけてきている人物は普通に年のおじいさんだった。多分八十は越えているであろう見てくれだ。


「いきなりで困惑しておるか? でも安心しろ

、ワシが今から全部教えてやる」


「おじいさんは誰なんですか? もう死にかけみたいな外見ですよね」


「誰が死にかけじゃ、ワシはまだまだ元気じゃぞ。こうみえてもじゃな、ワシは様々な星を管理、維持する管理神のひとりなのじゃ」


 おじいさんはどや顔で言いはなった。


「管理神てなんですか、神ってことですよね? 普通に神じゃダメなんですか。ややこしいですけど」


「贅沢いうな。ところで今回お主を呼び足した理由なんじゃがの、実はとある世界を救って欲しいのじゃが」


「ちょっと待ってください、全然事情が分からないんですけど。まずどこなんですここ」


「ここは天国じゃよ、なんとなくそれっぽいじゃろ」


「天国? え? 僕は一体どうなっちゃったんですか」


「お主は死んだぞい。高校からの下校の途中に車に敷かれてな」


「え!? そんな記憶ないですよ、デタラメ言わないでくださいよ」


「そう言われても事実じゃからの。別に思い出せんくてもよいが、話はどんどん進めていくからの。一度しか言わんからよく聞いとくことをオススメするぞ」


「そ、そんなバカな」


 なんなんだこの人、全然人の話聞かない。いや聞いてはいるがひどく冷たい、こんな人人間じゃない! そうか神様だった。


「ともかくお主は死亡した。しかしそれで終わりではないぞ。お主は新たな命を持って転生し、人生をやり直すことができるのじゃ」


「え、転生?」


「うむ、先ほど言ったがとある世界で問題が発生しておっての。実はその世界で魔王と呼ばれる存在がおるのじゃが、最近誕生したそれがめちゃくちゃに暴れておっての。このままでは人類滅亡の危機じゃ。しかし神であるワシが直接手を加えることは掟で禁止されておるから、変わりにお主がそやつをとっちめてきて貰いのじゃ」


「魔王? なんですかそれ、ファンタジーの世界でしか聞いたことありませんよ」


「現にそういう世界じゃよ。どんなものをお主が想像しとるかは知らんが、その世界には魔法があり、スキルがある。常に戦いにまみれていて、まぁ暴力がものをいうような世界じゃ。お主の元いた世界では銃器やら化学兵器やらが随分発展しておるじゃろ? 今回の世界ではそこまでの技術発展はしておらんからかなり個人のワガママがまかり通るような常識感になっておるのじゃ。まぁその辺は暮らしていくうちに慣れていくじゃろうが」


「ちょっと待ってください、なんか転生確定みたいないいぶりですけど、魔王を倒すとか僕にはできませんよ」


 なにせ俺はまともな喧嘩一つしたことがない。口喧嘩ですら最弱な自信がある。


「その辺はもちろん心配いらん。当然今のお主のままだと雑魚過ぎて一切使いもんにならんなら、ワシが特別な神パワーを付与してやる」


 そう言うと神と名乗る存在は俺に手をかざしてきた。そして三秒も経たないうちにその手を下に下げてしまう。


「ふむ、これでお主は神の力を手に入れた。使いこなせれば魔王ですら軽く凌駕してしまうじゃろう」


「え、ホントにですか?」


 手をかざしていたが何が出たとも思えなかったし、体にもなんの変化も感じはしなかった。


「なんじゃまさか怪しいとでもいうつもりか? 神が嘘をつくわけなかろう。仮に付くとしてもなぜお主にそこまで気を使わねばならんのじゃ、脳のリソースの無駄じゃわい」


「でもなんの変化もないようですよ?」


「それはお主のセンス次第ということなるの。ワシは神の力の源を授けただけで、それを使いこなせるかどうかはまた別問題じゃからの」


「えーっ、なんですかその適当感。それでなにも使いこなせなくて一般人同様だったらどうするんですか」


「その時は基本的に辛い日々を送ることになるじゃろうな。手に職をつけて精々くたばらんように働くくらいしかなかろう」


「なんて無責任な! それじゃその魔王とやらを倒すことも叶いませんよ!?」


「その時はその時じや、また新たな人材を召還すればいい話じゃし。まぁお主も何も適当に選出したわけではない、多少なりとも神との親和性を見いだしたからわざわざ呼んでおるのじゃ、きっとなんとかなるのではないか?」


「なんだそれ……」


 なんか全てがあまりに杜撰というか適当すぎないか? いきなり死んだとか言われて、そしたら異世界に転生することになっててさらに魔王を倒せとか流石に意味が分からないだろ。こちとらただの高校生だぞ。


「なにが魔王だよ! そんな世界どうなったって俺には関係ないね、魔王討伐なんて願い下げだ!」


「残念ながらこれはもう決定事項なのじゃ。お主が何を思おうが異世界に飛ばさせて貰う」


「は? なんでそんな……って」


 次の瞬間俺の体が徐々にだが発光してきているのが分かった。光はどんどん強まっていっている。


「それじゃあ達者での。……まぁその調子じゃ魔王討伐なんぞとても無理な話かの。はぁ、次の人材を探すとするか」


「はぁ? ちょ」


 俺が放とうとした言葉は光に呑み込まれて消えていった。

 気付けば意識は朦朧としていて、やがて完全に光に呑まれ、俺は意識を閉ざしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ