表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/31

プロローグ 

 

 高校の卒業式の日、顔は知っている程度の後輩から呼ばれ、彼女は一大決心をしたような顔つきでこう宣言した。


「先輩!好きです!時給500円でデートしてください!」



 変な告白をする娘だなと思い、俺は面白がって少し意地悪をしてみた。


「それって交通費と食事代は経費で出る?」


 すると彼女は少しパニックになったのか、目を回しながら


「あっ…ええと…自己負担でお願いします!」


 絞り出すように、そう答えた。


 あっ、そこは自己負担なんだ。


 そう思うも、彼女とのやり取りが楽しくなってきた俺は、デートくらいならいいかなと思い、その話を受けることにした。


「わかった。じゃあ来週の日曜日とかどうかな?」


「よよよ、よろしくお願いします!!!」


 そう言うやいなや、彼女は飛び出していってしまった。


 あれ?連絡先とかお互いに知らないけど大丈夫なのかな?と思いつつ、彼女の後を追ってみると…


 そこには辺りの友達に得意げに自慢するも、うっとうしがられていた後輩の姿が。


 馬鹿だなぁと思いながら、どうやって連絡してくるのかを楽しみに、俺は迎えに来ていた母の車に乗り込む。


 道中どうやら自分は、にやけていたらしい。


 運転席の母が言う。


「なにか楽しいことでもあったの?」

「いや。なんでもないよ。」


 そう言いつつ、散っていく桜の花びらを眺めながらこれからのことを想う。


 ──こんなにもワクワクするのは、とても久しぶりだ。


 いつもと同じように吹く風が、今日はやたらと心地よかった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ