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仇討ち

 霊力だけ上限値がケタ違いだ。これからも伸びしろがかなりある、ということなのだろうか?


 詳細は分からない。だがそれより、イエラの呪いが発動した時点で、月を見ることのできる全ての人間の石化が始まる。せめて、祟りがアルバレス家のみに向くようにはできないだろうか?


《ヴェルデ……聞こえるか? ヴェルデ?》


「その声は……レギアさん?」


《そうだ。久しぶりだな》


 壮年の剣士の霊が姿を現した。赤を基調としたローブを身に纏い、腰には豪奢な装飾の剣を佩いている。この人こそが、五大勇者筆頭にして【聖剣の勇者】レギアさんだ。


「イエラが怒りを抑えられなくなったみたいだ。俺たちの声も通じない。どうにかして止めてくれないか?」


 無茶なことを言ってくるな。


「月にまで作用するほどの呪いとなると、解呪は難しそうです。というか、その前に職に就けないので餓死しそうです」


 俺が正直なところを話すと、レギアさんは可笑しそうに顔を歪めた。


「お前ほどの力を持つ者が食いっぱぐれるとはな。随分と世の中は変わってしまったようだ」


 レギアさんは聖剣を抜き、俺に向かって構えた。


「剣技【グローム】」


 レギアさんはそのまま剣を振り抜く。対する俺は何もせず、刃を受け入れた。


「今のを避けないとは、さすがの肝の据わり方だな」


「霊体の剣なんて、怖くありませんから」


 実際、霊体の剣は俺の身体を素通りしただけだった。


「果たしてどうかな?」


「ッ!」


 次の瞬間、電流のような衝撃が全身を貫く。そして、技の知識が流れ込んでくる。今の剣技についてだ。もう使いこなせるように感じる。


「こんな芸当が可能なら、もっと早く教えてほしかったものですね」


 俺はすぐに体勢を立て直し、皮肉を言う。


「それはできなかった。アルバレス家は我らの仇。みすみす手の内を明かすわけにはいかなかったんでね」


「アルバレスの名を捨てた私になら、教えても構わないと? 何が狙いです?」


 俺が問うとレギアさんは剣を納め、地面に胡坐をかいた。


「仇を討ってほしい。アルバレスの血を根絶やしにしてほしいのだ。そうすればイエラの怒りも収まる」


 伝説の剣聖といえど、誇りには拘るようだ。まぁ無理もない。アルバレス家のおかげで五大勇者は、邪神に魅入られ道を外れた、大罪人扱いされているのだからな。


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