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【本編完結済】最強ご主人様はスローライフを送りたい  作者: 卯月しろ
第二章 出会い アイリス、クロ編

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紅魔の魔王グレン






〜???サイド〜




────────我は、誰だ?



暗い。

何も見えない。

暗闇が我を覆っている。

我は今まで何をしていた?

(みな)はどこだ?

分からない………何も思い出せない……………。




…………………そうだ、我は───────。

彼奴(きゃつ)の呪縛によって生きる人形となった紅の王。

死なない………死ねない人形。

全て我の元から消えた。

何もかも。




…………時が経つにつれ、どんどん我も消えてゆく。

我の魂さえも()まわしき彼奴の(にえ)となってしまう…………。


誰か…………我を殺してくれ。

我は疲れた………。

痛みも、苦しみも、悲しみも、恐怖も、全てもう感じ飽きた。












─────────我のそばに近寄るな…………。

我は………全てを壊してしまう。


我を殺すといきがって現れた輩も、すぐにじゃべらなくなった………。

我が訪れた国も、気が付けば滅ぼされていた………。



我は怖い。

近づくもの全てを無にしてしまうこの忌まわしき力が。

こんなものを得るために、我は魔の王を目指したのではなかったはずだ………。



………………?

我は何のために………?














───────あぁ、あのお方の封印をいち早く解いて差し上げるため、もっと生贄(いけにえ)を集めなくては………!

まだ足りない。

もっと、もっとだ………もっと魂が必要だ。

国を滅ぼせば大量の贄が手に入る。




それだけあのお方の復活が早くなる………………いや、違う。

早くしてはダメだ。

まずい………すでに我が消えつつある…………。


誰か、我を助けてくれ………。

我はまだ消える訳にはいかん。

我を殺し、彼奴までをも滅ぼす人物を見つけるまでは…………。










…………我は……………誰だ?

教えてくれ………教えてくれ………………。










玉座の上で巨体を丸めて(うずくま)り、死んだ目でブツブツとそう呟く王。

かつて彼を慕い、眼下に膝をついて忠誠を示した臣下達はもう存在しない。

真っ暗な部屋には、一人ぼっちの王がぽつんと寂しく残された。


数百年前から変わらぬ景色。

変われぬ己。

魂だけが静かにすり減っていく。




──────そんな部屋に、一筋の光が差し込んだ。




久々に見るその光景は、まるでやっと差した希望の光にさえ見えた。

誰かが部屋の入口を思いきり開けた。

王はニヤリと笑ってのっそり立ち上がると、先程の情けない姿は掻き消えて、王たるにふさわしい堂々とした鬼迫がみなぎる。



さあ、新たな剪定(せんてい)の時だ。






        ◇◆◇◆◇◆





不気味なオーラを放つ禍々(まがまが)しい扉を押すと、俺の身長の三倍はあると思われる巨大な鉄の塊は、ゴッ、ゴゴッ!と重厚な音を立てながら、思いがけず滑らかに動いた。


一度動き始めれば、まるで後ろから誰かが引っ張っているのではないかと思うくらい、つっかえることなく開いていく。

完全に開ききった大扉はズゥン、と余韻(よいん)を残して止まり、ずっと隠していた内部をお披露目する。


内部は漆黒に包まれていた。

開けた扉から入る光が入口付近を微弱に照らすだけで、他は明かりも光の入る窓も無いため、ありとあらゆるものが真っ黒で何も見えない。




「ようこそ、我が"王の間"へ……」



「「っ!!」」



突如奥から響いた重々しい声に反応し、俺とクロは咄嗟(とっさ)に各々の武器を引き抜いて構える。

するとすぐに、入口近くの両側に設置されていた松明がボッ!と音を立てて燃え上がる。

普通の炎の色ではなく、真紅(しんく)に近い真っ赤な炎だ。


少し離れた場所にも同じように二つの火が灯り、中央の絨毯(じゅうたん)を照らしながらどんどん奥へと進んでいく。

そして、合計で八個目の火が灯ると、最後に九個目と十個目が奥の階段の中間を照らす。


どうやらあのもう少し上には玉座があるらしく、絶妙に明かりの避けられたそこには何かの足だけが見えた。

一歩ずつ確実に、ズシン、ズシンと地ならしを起こしながら何かが階段を降りてくる。



…………姿を現したのは、見上げるような筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)の体躯に厳ついライオンの顔。

背中に大きなコウモリの羽を持ち、赤みがかった長い毛に覆われたヤギのような下半身にしっぽからは蛇が生えてこちらを睨んでいる。

簡単に言うと、いわゆるキメラのような姿だ。

こいつが"紅魔の魔王"か。



「我こそは魔王グレン。世間では"紅魔の魔王"とも呼ばれているらしいな」



遠くで向き合う魔王グレンが発した重々しい声は、言葉自体が物理的な重みを持っているかのように俺達の体にのしかかってくる。


まだ何もしていないのにとんでもない威圧感だ。

超が付くほどの高レベル、高ステータス、さらには厄介なスキルを多数所持。

〈鑑定〉でグレンのステータス画面を見て分かったが、やはり魔王は異常なほど強い。








ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


誤字脱字報告、感想等やブクマ、評価などもぜひよろしくお願いします!!(*^^*)

広告の下にある☆を押していただければ、ポイントが入りますので



最後に。

次回もぜひ読みに来てください!







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