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【本編完結済】最強ご主人様はスローライフを送りたい  作者: 卯月しろ
第二章 出会い アイリス、クロ編
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アイリス救出





「よし、じゃあ少しの間だけ我慢しててくれな」



「「「「うんっ!」」」」



さすがに四人も抱っこは出来ないので、申し訳ないが両手に二人ずつ担いで移動することにした。

クレーンゲームで持ち上げられた人形のように手足をブラ〜ンとさせる子供達からの元気な返事を聞き、俺は早速高速で移動を開始する。


もちろん風圧で怪我をしないように、正面に魔法障壁を張るのも忘れずにだ。



「わー!すごいすごーい!」

「馬車よりずっと速い………!」

「すっげぇー!」

「お兄ちゃんかっこいいの!」



子供達が俺を見る目はキラッキラに輝いている。

うむ、泣き止んでくれたようで何より。

泣くなら今じゃなくて、再会した時にめいいっぱい泣いて欲しいもんな。





…………さて、皆の言う"アイリス"という少女と盗賊の位置は既に索敵済だ。


〈気配感知〉で確認してみると、確かに結構高位の魔物と思われる存在が盗賊側に着いている。

数もそれなりに多い。


これはどう言う事なんだろう。

魔物を使役できる貴重な職業の召喚術士(しょうかんじゅつし)は盗賊側に居ないようだし…………それに、さっきの盗賊達が羽織(はお)っていたローブも気になる。


あの精度を誇る魔道具をなぜ盗賊なんかが持っていたのか…………いや、もしかしたら()()()()()()()なのかもしれないが。



俺はさらに加速して真っ直ぐ進んでいた樹海(じゅかい)を横断し、そのまま樹海を迂回(うかい)するように整備された道に飛び出る。

ちらっと見ると、目測で数キロ離れた場所から微弱な戦闘音と、くすんだ白煙が立ち上っているのが目に入った。



索敵した場所とも一致する。



そして今改めて〈気配感知〉のスキルで見て驚いたが、アイリスという少女は今も(なお)、大勢の盗賊と配下(?)の魔物相手に一歩も引かず応戦しているらしい。


多数対少数とかそういう次元の話ではなく、どう考えても一人じゃ対処出来ないような数なんだけど…………。

もしかしてアイリスさんってかなりお強い?



…………いや、そんな事言ってる場合じゃないな。

たしかに今は拮抗(きっこう)してるけど、いつアイリスさんが押し負けるか分からない。


その証拠に、〈気配感知〉上の盤面(ばんめん)ではほんの少しずつではあるが、アイリスさん側が押されてきている。

これは急いだ方が良さそうだ。



「皆、ちょっと急ぐから口閉じといてね。舌噛んじゃうから」



子供達が慌てて口を閉じて手で覆ったのを見て、微笑(ほほえ)ましいものを感じながら、俺は両足に魔力を流して強化する。



そして一歩踏み込んだ瞬間。



ヴッ!と鈍い音が耳を通り抜けると共に景色が背後に引き伸び、一瞬のうちに今までとは比較にならないほどの距離を進んだ。


子供達からすればワープしたようにさえ見えただろう。

それほどの速度で、俺は地を蹴る。

数回加減を間違えて地面が陥没してしまったが、見なかったことにしてどんどん走る。



「【エアロブラスト】!」



樹海に沿った緩やかなカーブを途中まで曲がると、ついに盗賊と魔物に相対(あいたい)するように立った一人の少女の姿が見えた。

少女は所々に傷を負った馬車を背に魔法を(はな)ち、接近していたゴーレムのような魔物を三体とも吹き飛ばす。


が、魔法を喰らったゴーレム達はすぐに何事も無かったかのように立ち上がってしまう。

今の高威力の魔法を喰らって全くの無傷とか、一体どんだけ強力な魔物なのだろうか。

いかに魔法抵抗力の高いゴーレムと言えど少々おかしい。



目を向けると、盗賊側は樹海で倒した奴らの仲間らしき人間が数十人。

それに見たことない色のゴーレムと、ごつい(よろい)に本来首のある位置から紫色の炎がゆらゆらと見える、いわゆるデュラハンと呼ばれる首無し騎士が八体ずつと。



「げっ………」



そして、また少女向けて歩き始めたゴーレムがちょうど俺が走っている直線上…………しかもギリギリ今からでは止まれない位置に重なった。

仕方ない、このまま突っ込もう!




「はぁ、はぁ…………っ!も、もう一回、【エアロ───────って、えぇ!?」



「せぇええいっ!」



そのまま速度を落とさずゴーレムに飛び蹴りを喰らわすと、ものすごい衝撃波が鋼鉄(こうてつ)の体をいとも容易(たやす)く貫通し、遅れてソニックブームさえも発生させる。

その勢いだけで残り二体のゴーレムの体にもヒビが入り、大きな砂埃(すなぼこり)を上げながら粉々に砕け散った。


もう一度魔法を放って対抗しようとしていた少女は、突然その相手が四散(しさん)して驚きを隠せないようだ。

当然ながら、手元の魔力も霧散(むさん)してしまった。


俺は砂煙の中立ち上がると、邪魔な砂煙を風魔法で吹き飛ばす。

それから目を輝かせる皆を降ろし、背中の剣を抜いて正面の盗賊達に向け。



「もう大丈夫!何故って? 私がK──────」



「アイリスお姉ちゃーん!」

「アイリスねぇ!アイリスねぇ!」


「………………」



どこぞのヒーローのような決めゼリフを言いかけた途端、降ろした子供達が一斉にへたり込んだ少女の元に駆けていく。

感動の再会だ。

みんな涙を流し、少女ことアイリスの無事を喜んでいるようだ。







・"もう大丈夫!何故って!? 私が来た!!"…………僕のヒーローアカデミア、オールマイトより




─────────────────




ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


誤字脱字報告、感想等やブクマ、評価などもぜひよろしくお願いします!!(*^^*)

広告の下にある☆を押していただければ、ポイントが入りますので



最後に。

次回もぜひ読みに来てください!







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