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デジャブ





『キシキシ!』




「うわああああああーーー!!」

「きゃああああああーーー!!」






木々が日差しを適度に遮り、暖かい木漏(こも)れ日が地を照らす例の森林で。

何かの鳴き声と、どこかデジャブを感じさせる悲鳴が今度は二つ響いていた。


ガサガサと必死に雑草を掻き分けて走る音に、断片的だがカサカサと嫌なものが地を()う音も合わさる。

低木も入り交じった木々の間をすり抜けるかのように走り、涙目の俺は現実逃避気味に背後の何かを数えているリーンを抱えてひたすら逃げる。



この森もうやだぁ!!



ダグール滞在中、素材採集も兼ねて再びこの森に戻ってきたのだが。

軽く幼児退行を起こしながらも、かつてない程の全力疾走。

しかし、それでも奴らは振り切れない。


それも当然、奴らは走りのエキスパートなのだから。

人類には不可能な初速から最高速度に達する走行技術。

六本の足を巧みに動かし、人並みのサイズとなれば時速300kmに近い速度に至ると言う。

ちなみに時速300kmとは新幹線より速い。


…………なんて、某格闘マンガから得た知識が頭をよぎる。



小さな崖から飛び降りざまにちらりと後ろを振り返ると、数十メートルほど離れた場所にものすごい勢いで追いかけてくる超巨大な黒い物体を捉えた。

一部はブブッ!と羽を動かし飛んでいる。



そう、黒い外骨格が発達し、時速300kmでカサカサ動く嫌いな方が多いであろう生物と言えば。

どの世界に行っても(たぶん)、G(ゴキブリ)しかいないだろう。


もはや四つん這いになった人サイズのGなんて完全にホラーだ。

精神的にも肉体的にも、ここまで危機感を抱いたのは初めてかもしれない。





既にこいつらとの鬼ごっこは二十分以上続いていた。

もうさすがに勘弁して欲しい…………。

俺のメンタルが持たん。

ずっと後ろでカサカサカサカサ…………………気が狂うわ!


ちなみに俺もリーンもGは大の苦手で、二人共はたと出会ってその黒光りするボディを見た途端、うぼぁ…………と白い何かを吐き出して卒倒した。

今回は俺もだ。


と言うのも。

俺は前世にてそれはもう重いトラウマがあるのだ。



あれは小学生の夏休みの出来事だっただろうか。

友達と遊んで帰ってきた俺は汗をかいていたので、早速お風呂に入ろうとしていると、洗面所に厄介な奴を見つけた。

しかも結構大きい。

その時は(たい)して苦手と言う程でもなかったので、冷静に母を呼ぼうとした次の瞬間。



ブブッ!



羽を広げて飛び立ったGが、俺の顔面向けて───────────────。

決して当たりはしなかったが、一発でトラウマになった。

それからGはもう一切ダメだ。



しかし二人共倒れてしまっては全面モザイクレベルの映像になりそうだったので、気力を振り絞って何とか復活。

すぐさま逃げ出した。

クモと違ってGは相変わらずGだった。

牙や爪が発達している訳でもなく、そのまま巨大化している分リアルすぎて余計にやばい。


てか速いって!

たしかに今までも素早いとは思ってたけど、まさかここまでだったとは。



「くそっ!お前らには容赦するつもりはないからなぁ!」



やっと全ての奴らに()()()を付けることが出来た。

ふはははは!準備は整った!

いざ反撃の時!!



崖からジャンプしてそのまま飛行魔法で上空へ向かう。

もちろん奴らは付いてくる。

もっとだ、もっと上へ…………!

奴らが一匹残らず着いてくるまで。



……………………………………ちょ、なんか多くない?

ちゃんとマークしたはずなんだけどな。

ちらりと下を見て、はてと首を傾げる。

思ってた十倍はいるんだが…………。


"一匹居たら百匹居ると思え"、というのはあながち間違いでもないらしい。

あまりに多すぎて黒い粒が森を覆い隠してる。

どんだけ居るのさ………………もう生態系も何もありゃしない。

一体どこに隠れてたんだ?


次から次へと…………。

まあGって仲間の居る所に集まるらしいしな。

なんかゴッキーハウスも最初より一匹目が入ってからの方が、分泌するホルモン的に寄ってくるGは多いらしいよ?



そんなどうでも良い豆知識を披露しているうちに、Gの数はさらに増えて巨大な波のようになってしまった。

…………………これ、一種の災害に成りうるのでは?



「まあいい、喰らえ!【地獄の業火(ヘルフレイム)】!!」



めいいっぱいの魔力を喰らい、火属性最高火力どころか古代魔法の中でも上位に食い込む地獄の業火がGを焼き尽くす。

黒い波と黒い炎のぶつかり合い。

まるで本物の波のように手ごたえ無く押し返してくる。

なんなら炎に覆いかぶさって飲み込もうとまでしているではないか。



「う………おおおおお!!」



裂帛(れっぱく)の気合いと共にごぱっ!と炎の量が倍増し、Gどもを一匹残らず飲み込んで行く。

そして黒い炎が爆ぜ、火の粉と膨大な魔力が拡散する。



…………………………………一応念の為言っておくが、これはただGを駆除しただけである。




炎が消え、静かになった空中でため息をつく。

酷い目に遭った…………。










ちなみにGのやつは作者の体験談です( ´ ཫ ` )







読んでいただきありがとうございます!

ここで皆さんに一つお願いが…………。



何か感じていただけたのなら、ぜひぜひ感想やブクマ、評価などをよろしくお願いします!!(*^^*)

誤字報告や厳しいご意見もバッチコイです


下にある☆を押していただければポイントが入りますので、良ければ入れていただけると……………………………作者のやる気が上がります(૭ ᐕ)૭フニャ



"いいやん、更新されたらまた読も"と思っていただくだけでも嬉しいので、ぜひ!




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