第二話 カミングアウト
「いやぁ、それにしてもこうやって会うのも久し振りじゃないか?確か小学ニ年までクラス一緒だったじゃん。あ、いや、五、六年は一クラスしか無かったっけ。」
「うん。それで中学校から別々だったっけ。」
「あ〜、そうそう。」
この病院はそこそこ規模が大きく、こうやって二人でベンチに腰掛けて話せるスペースだってあるのだ。
「それがこうやってまた会える事になるなんて、俺のフットワークの軽さに感謝しろよ!」
「いや・・・・・・・・・それってフットワーク軽いって言うのかなぁ?」
「いやいやそうだって!今どき『童貞のまま三十歳になったら魔法使いになれる』なんて馬鹿話が流行るほどしょーもない童貞が多い中、俺はDS、つまり小学生のうちにハジメテ経験したんだぜ!こういうのを社交的って言うんじゃねーの?」
「いや絶対に違うだろうし。なんだったら全国、いや世界中の真の社交的な人に謝ってほしいし。」
「なんだよお前もそう言うのかよ。俺のダチとおんなじだな。あ〜つまんねぇなぁ。」
「ったく、そんなんだったらいつまで経っても童貞卒業できないぞっ!」
尾左内は笑いながら肩を叩いてきて、それから、
「ところで彦崎は何でここにいるんだ?何の病気?」
聞かれてしまった。お願いなら、このまま何事もなく終わってほしかったのだが、まぁ、病院でこんな会話をしないで済ませられる方がよっぽど珍しいだろうけど。
「・・・・・・・・・やっぱりお前もそう聞いてくるんだな。」
「あ~もしかしてお前も性病なのか?」
「・・・・・・いや、そんな訳無いだろ。」
「いやいや、別に恥じゃないだろ?」
「・・・・・・・・・・いやいやいや、高校生になるのにこんな話しかできないほうがおかしいだろ・・・・・・・・・・」
俺は大きなため息をついた後、
「僕さ・・・・・・・・どうやら余命半年らしいんだよ。」
「・・・・・・・・・・・・今日ってエイプリルフールだっけ?」
「今日は4月2日だよ。」
それを聞いた尾左内はさっきとは一変してひどく真剣な表情で、
「はぁ!?どういうことだよそれ!!!い、いったい何の病気・・・・・・・」
「分かんない。医者の話聞いてたけど、ショックデカすぎてほとんどわからなかった。なんか心臓がドーのコーのらしいけど。」
「なんだよそれっ・・・・・・・うp主というか、作者だったら医学の知識がないから分かんねぇんだろうけど、直接聞いたお前なら分かんだろ?!」
「そっちこそなんだよそれ・・・・・・・・・それに作者が分かんねえんだったら、僕にだってわかるわけ無いだろ?」
「それもそうだな。」
「認めるの早すぎだろ・・・・・・・・・・」
その後、しばらくの間、俺たちの間に重い空気が流れてしまい、しばらく静かになってしまった。