第一話 余命宣告・4/2
四月二日
「彦崎星谷さん、残念ですが、余命は長くもって後半年程度です。」
「・・・・・・・あの、今日って、四月一日でしたっけ?エイプリルフールの嘘としてはちょっと」
「・・・・・・・・いえ、冗談ではないですし、第一、今日は四月二日です。」
・・・・・・・・・・・・嘘だろ?ホント?!
「では、改めて説明しますが、彦崎さんの✕✕✕✕という病気といいますのは、〜〜〜〜〜〜〜」
その後の先生の話なんて全く聞こえてこなかった。
四月二日
病院の待合室、僕は一人で小さく震えていた。
余命半年もない!?まだ16歳なのに!?
意味がわからない。こんな不運に見舞われるほど僕、悪いことしたっけ?
・・・・・・これからどうしよう。あと半年、何していけばいいんだろう。
そんな時、
「尾左内さん、尾左内さん。3番窓口でお越しください。」
オサナイ・・・・・・・・
「はーい、っと。」
「尾左内君?」
ふと、見たその顔は懐かしい感じがした。
「んー、あ。もしかしてお前彦崎?」
「そ、そうだよ。やっぱり尾左内君?」
ふと出会った彼は、彦崎が小学生の頃のクラスメイト。尾左内蛍であった。
「おー、彦崎じゃん。よく俺だとわかったね。」
彼が笑いながら言うのに対して、彦崎は、
「うん、尾左内なんて苗字、珍しいからね。それより、尾左内君・・・・・・」
「どした?」
尾左内君、イケメンになってる。
小学校の頃、彼はクラスで一番、いや、学年、学校で一番カッコイイとは言われてきた。
実際、かなり女子からモテていた。
バレンタインデーには、机の上に乗り切らない程のチョコを貰っていたのを実際見たことがある。
だが、今の彼は少し違う。
何と言うか、ホストのような、嫌らしい雰囲気が滲み出ているのだ。
別に、髪を染めてるわけではない。ピヤスやイヤリングをしているわけではない。露出度が高いわけでもない。
なのにだ、
何故か、妖艶な雰囲気を全身から醸し出している。
男なのに。
「と、ところでさ、尾左内君はなんで病院に来たの?どっか悪いの?」
「ああ、俺?いやぁ~、中学卒業記念に野牧、あ、俺の彼女っうか、セフレ?なんだけと、その子を含めた知り合いで乱交パーティーを開いたんだけどさぁ、何か誰かが性病持ってたみたいでさぁ、うつされちゃって、高校入学してセックスする前に治さなきゃ、って思ってわざわざ来たわけさ!」
・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
待合室が静まり返った。
ぼくも何も答えることができない。
なんで、なんでこんなことを大声で言うことができるんだ?!
どんな神経してるんだよ!!!