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婚約破棄されたのでイメチェンしたらモテました

作者: 茜カナコ

 ある朝、令嬢ベリンダ・ムーアは呆然と立ち尽くしていた。


「大丈夫ですか? ベリンダ様」

「ええ。……ちょっと一人にさせて下さい」

 手紙を届けたトーマス家の使いを屋敷に帰すと、ベリンダはもう一度手紙を読んだ。


「貴方は大人しいだけで、何を考えているか全く分からない。婚約破棄させてもらう。コンラッド・トーマス。……読み間違いではありませんね」

 ベリンダは一人呟いた。


「ずっと、我慢してきたのにこんなことって有るのですね! それでは私も好きなようにさせて頂きましょう!」


 ベリンダは町の髪切り屋を呼び寄せると、腰まであった金色のロングヘアーをショートカットに切ってもらった。

「大分、軽くなりましたわ。次はドレスを買い換えましょう!」


 ベリンダはそう言うと、町一番のドレス店に行き、深紅のドレスを身にまとった。

「今までは、地味で目立たない物をえらんでいましたが、もう自由に好きな色を選べますわ!」


 ベリンダは金髪のショートヘアーに深紅のドレスで、さっそうと町を歩いた。

「コンラッド様はよい方でしたけれども、他人の目を気にするところがありましたからね。こんな格好を見られたら、卒倒されてしまうかも知れませんわ」

 ベリンダは気持ちが軽くなっていた。


「あら、あそこにいるのは騎士のシリル様ですわ」

 ベリンダはシリルに挨拶をしに行った。


「ごきげんよう、シリル様」

「……はじめましてでは有りませんか? ……!? あなたはベリンダ様ですか!?」

 ベリンダは驚くシリルを見て上機嫌だった。


「これは、何かあったのですか? ずいぶんと雰囲気が変わっておられますが」

 シリルは言葉を選んでいた。

「私、婚約破棄されましたの。ですから、自由に振る舞うことに決めたのですわ」

「それは、お気の毒に……というよりも嬉しそうですね」


「ええ、今までは自分を押し殺しておりましたから」

 ベリンダはそう言って微笑んだ。

 シリルの顔が赤くなる。


「それでは、今度舞踏会に誘ってもよろしいですか?」

「まあ、喜んで」

 シリルの申し出にベリンダは快諾した。


「コンラッド様はもったいないことをしましたね」

 シリルがそう言うと、ベリンダは答えた。

「無理をしていた私が悪いのですわ。今はこんなに軽やかな気分ですもの」


 シリルが言葉を探しているとベリンダは話し続けた。

「コンラッド様には申し訳ないことをしましたわ。今の私なら、違う答えを出せたかも知れませんもの」


 ベリンダはそう言って、シリルにお辞儀をすると去って行った。

「ベリンダ様がこんなに可愛らしいだなんて、コンラッド様は気付いていなかったのですね」


 シリルは軽やかに歩いて行くベリンダを見送った。


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