第8話 村にやってきたモンスター
「ふ~……終わったぁ……」
俺はなんとかクロスボウに続いて盾も完成させた。
一日中村の人たちが鍛冶場を見学しに来ていたので多少気が散ったが期日までにはなんとか間に合った。
あとは明日に備えてゆっくり休むだけだ。
「あっ。バランさん、大丈夫ですか? ふらふらですよ」
よろめいたところをリエルに支えられる。
三十六歳のおっさんが二十歳そこそこの女の子に肩を貸してもらうとは情けない。
「……さ、さすがに二日寝ないのはしんどい、ね」
「当たり前ですよ。モンスターと戦う前に死んじゃいますよ、バランさん」
その言い方だとまるで俺がモンスターに殺されると思っているかのように聞こえるが……。
まさか俺がSランクパーティーのお荷物だったことを知っているのか?
あー、駄目だ、頭が回らない。
……体が重い。
「あっちょっとバランさん。まだ寝ちゃ駄目ですよっ。バランさんっ……」
☆ ☆ ☆
「バランさんっ」
「バランさんっ」
「バランさんっ!」
はっと俺はリエルの声で目覚めた。
「バランさんっ。ようやく起きてくださったんですねっ」
「リエル……モンスターは! まだ来てないのかっ?」
辺りを見回す。
ここは鍛冶場ではなくガゼフさんの家の中だ。
俺は眠ってしまっていたようだった。
頬が痛いのは気のせいだろうか。
「モンスターならついさっき来たところですっ。おじいちゃんがなんとか時間を稼いでいますけどもう限界です。早く行ってあげてください! お願いします!」
「わ、わかった」
俺は布団の脇に置かれていたクロスボウと盾を持つと家を飛び出した。
☆ ☆ ☆
『オレ様を待たせるとはいい度胸だな、じじい。家畜は用意出来たのかと訊いているのだ』
「じゃ、じゃから用意は出来ておると言っておろうが。し、しかしじゃなお主もぱんぱんに肥えた豚の方がええじゃろうと思うてじゃなあ――」
『ごたごたぬかすな、じじい! まさか時間稼ぎを……ん? なんだ貴様は?』
俺が村の中央広場に駆けつけるとそこにはガゼフさんとモンスターが対峙していた。
しかしそこにいたモンスターはケンタウロスではなかった。
下半身こそケンタウロスのそれだったが上半身は人間ではなく牛の化け物だったのだ。
「お、お前こそ何者だ!」
震える声で叫ぶ。
「おお! バランどの! 来てくださったか」
俺を見て安堵したのか力が抜けたようによろよろとその場にへたり込むガゼフさん。
『オレ様はミノケンタウロスだ』
ミノケンタウロス?
聞き覚えがある。
確か神喰いのダンジョンの最深階フロアのボスって話だったが。
「な、なんでお前が地上にいるんだ。ダンジョンのモンスターじゃないのか?」
『バカな人間が召喚術とやらでオレ様を地上に召喚したのさ。その礼としてオレ様の血肉の一部にしてやったわ』
「……か、神喰いのダンジョンから来たのか?」
『そんな名のダンジョンは知らん。それより貴様は何者だ?』
お腹の底に響くような低い声。
威圧感が半端じゃない。
相対しているだけで汗が滝のようにあふれ出てくる。
「お、俺はバラン。元はSランクの冒険者だっ」
Sランクと聞いてビビッて逃げ出してくれないかなぁと淡い期待をしていたがむしろ逆効果だったらしい。
『何!? Sランクだと……ふっふっふ、これはなんたる僥倖。オレ様は一度Sランクの冒険者と戦ってみたかったのだ』
ミノケンタウロスは赤い目を光らせると攻撃の構えを取った。
先端が円錐状に尖ったヤリを俺に向けると体から炎を燃え上がらせる。
まずいっ。
俺のクロスボウは対ケンタウロス用に作ったものだから炎属性がばりばりついている。
しかしあいつを見る限り炎は効きそうにないぞ。
ど、どうする……?
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